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リリカルってなんですか?
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第七話
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「……それをどこで?」

「情報源は、先生です。僕が先生から直接聞かされました。お二方が来られて、いじめの心配をされていたので、それを調べるために」

 高町さんのお父さんとお母さんは僕の言葉を聞いてどこか複雑な顔をした。

 娘が不登校というのは、世間体を考えると知られたくない事実ではある。
 それを子供の僕が知っているとなれば、情報源とは大人としか考えられない。彼らが心配したのは、高町さんが不登校ということが周りに知られているのではないか、ということだ。だが、それも杞憂だとわかって安堵したが、一方で、先生がこんな子供に調査を頼んだ、ということでそんな複雑な表情になっているのだろう。

 だが、そんな心情が分かったところで、僕が話すことは何も変わらない。

「はっきりといいます。高町さんはいじめになんてあっていません。これは高町さんが在籍するクラスの全員に聞いたことですので、ほぼ間違いないかと」

 もちろん、正直に高町さんをいじめたか? などと聞くはずがない。そこは、子供なりのコミュニケーションで遠回りに聞いたのだ。まだ小学二年生ということを考えれば、遠回りに聞けば、何の躊躇もなく答えてくれるし、半分は元クラスメイトで結構親しく話せる仲だったことが幸いした。
 そして、話を聞いた僕が出した結論は、先ほど話した通りだ。高町さんは、いじめにあっていない。

 もっとも、それ以外の事実が発覚したのは意外だったが。

「そうか」

 僕の報告を鵜呑みにしたわけではないだろうが、クラス全員というのが利いたのか、あるいは先ほどからの僕の態度が利いたのかわからないが、とりあえずは二人とも安堵してくれたようだった。
 だが、安堵しているところ悪いが、僕は偶然、気づいた事実を彼らに伝えなければならなかった。

「ただ、気になることがあります」

「気になること?」

「ええ。確かにいじめられていない。これは、事実です。ですが、話を聞いているうちに感じたことなんですが、彼女、あまり―――いえ、まったく親しい友達がいないんですよ」

 僕は高町さんを僕と同じタイプだと思っていた。誰とでも仲良くし、等距離を取るタイプの人間だと。
 そう、確かにその通りだった。だが、あまりにその距離が遠すぎるように感じられた。

 僕も確かに高町さんと同じタイプだ。だが、その中でも特別に親しい人間というのはいる。
 元保育園の仲間、サッカー仲間、カードゲーム仲間、勉強仲間。彼らの家に行ったこともあるし、逆に僕の家に来たこともある連中だ。
 だが、一方で高町さんにはそんな人間は一人もいなかった。

 確かに高町さんは誰もが知っていた。誰もが話したことがあった。誰の記憶にも残っていた。
 だが、ただそれだけ。『いる』とい
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