隻眼の軍人
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」
暗闇大使は内心で怒りを沸騰させていたがあえてそれを隠し応えた。
「あれはネクロノミコンの力を使っているな」
「だとしたらどうする」
暗闇大使は憮然とした顔で問うた。
「いや、だったらいいのだ」
地獄大使は納得した顔で頷いた。
「だとすればこちらも安心して使えるというものだ」
「もとは貴様が持っていたものだからな」
暗闇大使は言った。
「そうだ、わしがあえて貸してやったものだ」
「有り難く使わせてもらった」
「しかしそれだけではないだろう」
地獄大使はここで問うた。
「どういう意味だ?」
「ネクロノミコンだけで開発したわけではないだろう、と聞いているのだ」
「フン、察しがいいな」
「貴様の考えていることはわかる」
地獄大使は言った。
「何しろ血を分けた従兄弟同士なのだからな」
「不幸にしてな」
暗闇大使は再び顔を憮然とさせた。
「フフフ」
地獄大使にとってその様子がたまらなく面白いようだ。
「その力、何なのかと思ってな」
「それを聞く為にわざわざ日本に来たのか」
「まあな」
「わしが貴様に教えると思っているのか」
「言っただろう、わしには貴様のことは全てわかると」
「それはわしも同じだがな」
暗闇大使は言い返した。
「そうだな。これでわしの知りたいことはわかった」
「そうか」
暗闇大使は相変わらず憮然とした様子で言った。
「ならば去れ」
「言われずともな。誰が好き好んで貴様と会うものか」
地獄大使はここで嫌悪感をあらわした。
「わしはこれで持ち場に去らせてもらう。だが一つ忘れるな」
「何だ」
暗闇大使は顔を向けた。
「貴様の椅子は仮のものに過ぎんということをな」
「そうか」
ここは気にもかけぬふりをした。
「いずれ・・・・・・わかっているだろうな」
「何のことだ」
「フン、まあいい」
地獄大使は背を向けた。
「ショッカーの時からの掟だ。力こそが絶対だ」
「ならばわしの勝ちだな」
「言っておれ。それもいずれわかることだ」
地獄大使は背を向けたまま言った。
「その時を楽しみにしておれ」
「貴様の最期をな」
地獄大使はその言葉を聞き流し指令室をあとにした。暗闇大使はそれを見送りながら呟いた。
「あの男、気付いているのか」
彼はいぶかしんでいた。
「時空破断システムの秘密に」
それは彼と首領だけが知っていることである」
「いや」
しかし彼はここで首を横に振った。
「黒い光のことは誰も知らぬ筈だ。わしと首領以外は」
トロントでゼクロスに見せたあの光のことである。
「あの光がある限りわしの力は絶対なのだ」
彼は自分に言い聞かせるようにして言った。
「地獄大使、いやダモンよ」
彼は従兄弟の名を口に
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