隻眼の軍人
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。その中国がベトナムに雪崩れ込んできたのだ。
しかしそれも退けた。さしもの中国もベトナムの卓越した戦術の前に退くしかなかったのだ。
その後はアメリカ、中国、ASEAN諸国との対立が続いた。しかし彼等はソ連と組みこれに対抗した。冷戦が終わるとこれ等の国々との関係を改善しASEANにも加入した。そして日本にしきりにラブコールを送っている。
こうした優れた戦闘力と外交能力を持つベトナムが最も評価する国の一つが日本である。ベトナムの外交官の一人が日本軍の戦いを聞いて思わずこう言ったという。
「一度に二万の海兵隊を倒したなんて信じられない。日本軍の様に強い軍隊は今までない」
硫黄島での戦いだ。この歴史に残る壮絶な死闘はさしものベトナム人達も想像できないものであったのだ。
そうした長年に渡る死闘を潜り抜けてきたのがこの二人だ。だが彼等はそれでも互いを憎み合ってきた。
「貴様はあの時何をした」
「ショッカーより前のことは覚えておらぬ」
地獄大使はとぼけてみせた。
「わしにはもう何の意味もないことだからな」
「ふざけるな」
暗闇大使はそんな彼にくってかかった。
「何時でもそうだった。功績は常に貴様のものだった。わしは貴様の陰に過ぎなかったのだ」
「それが参謀であろう」
地獄大使は素っ気なく言った。
「貴様には表に出る能力がなかっただけのことだ。自身の無能を棚にあげてそのようなことを言うとは」
彼はここで従兄弟を侮蔑した目で見た。
「知の魔神の名が泣くぞ」
「言うな、わしは暗闇大使だ。その名はもうない」
叫ぶその目はもう血走っていた。
「このバダンの最高幹部だ!」
「フフフ」
地獄大使はそれを聞いて急に笑みを変えた。
「どうした?」
侮蔑が消えていた。何処か親しげな笑みであった。
「そうだ、バダンの最高幹部だったな」
「それがどうした」
暗闇大使はそれを聞き一瞬戸惑った。
「いや何も」
地獄大使はあえてからかうような顔をした。
「今のところは、という意味だったな」
挑発する為に。
「貴様っ!」
やはり暗闇大使は激昂した。左手に持つ鞭をこちらに向けようとする。
「面白い。ここでやるつもりか」
「だとしたらどうする!」
暗闇大使は感情的な声で言った。
「いや」
やはり地獄大使はからかうような顔をしている。
「最高幹部にしては軽率であるな、と思ってな」
「ム」
暗闇大使はその言葉に我に返った。
「フフフ」
地獄大使はその様子を楽しそうに見ている。
「落ち着くがいい。部下も見ているしな」
彼はあえて彼を宥めるようにして言った。
「ところで本題に入ろう」
地獄大使はここでようやく本題を言うことにした。
「時空破断システムだがな」
「うむ
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