暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアート・オンライン 〜仮面の鬼人〜
2話 一閃
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ケルベロスが俺に襲いかかる直前、俺は自分でも認識できないような速度で加速した。そして打刀を鞘から抜き、ザッと切った。
黒のエフェクトを纏った打刀が振るわれた。迸る黒の閃光、ザッと荒い音が一瞬し、一閃が煌めいた。
そしてケルベロスの背後にあった壺も一閃が起きると共に破壊され、俺はその背後に着地した。
ケルベロスの四段あるHPバー1つ半も削られ、大きな悲鳴を上げた。
大きな隙が出来たケルベロスに俺は追い打ちを掛けた。
ザシュッ! ザシュッ! と打刀を振るい、切り続けた。
だが、早々うまい話が続くこと無く、体力を半分ほど削ったところで敵は立て直した。
俺はバックステップを踏み、一旦下がった。
ケルベロスが体力を回復することはもう無い。だが、さっきより獰猛さが増していた。
「冥界の番犬は俺を冥界に連れて行けない……だからここで斬られろ」
俺はもう一度打刀を納刀し、居合の構えを取った。
ケルベロスは撹乱のつもりか、ダッダッ! と音を立てながら辺りを走り始めた。足は速く、捉えるのは難しい。
だが、不思議とケルベロスが遅く感じた。
俊敏を上げ続けた今までの苦労が実を結んだとも思えない。だが、不思議と遅く感じたのだ。
「……」
心を静め、耳を澄ませば自然と敵の位置が分かった。世間では心眼とも言われる物なのだろうが、これは聴覚による位置把握と心を静めた事による精神統一が成した物なのだろう。
背後から襲ってきたケルベロスに対しても体が自然と動き、受け流し様に打刀を抜き、斬り付けた。
何度も襲い来るケルベロスだったが、俺は完全な攻撃に転ずること無く受け流し様に攻撃を続けた。
臆病な戦い方。そんなことは分かっている。だが、もっとも効果的な戦い方を選んだのだ。
「…………これで終わらせる」
納刀した状態で俺は一閃の構えをした。
煌めく黒の閃光、迸る一閃の黒の光は一瞬にして終わり、ケルベロスはポリゴンとなって散った。
カチンッ、と刀を鞘に収めた。
俺の目の前にはラストアタックボーナスのアイテムウインドウが出現した。
そのウインドウには「ナイトブレスレット」と表示されていた。
「俺一人でも戦ってやるさ……」
その姿はまさしく鬼人、仮面を被った鬼人だ。



その後、次の攻略戦にて抜刀術を見せた俺に「仮面の鬼人」と言う二つ名が付いた。
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