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ソードアート・オンライン もう一人の主人公の物語
■■SAO編 主人公:マルバ■■
壊れゆく世界◆ユイ――MHCP001
第三十六話 サーシャ
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者達だという認識だったのですが、あなた達は一体……?」
「それはですな、《軍》内部は二つの派閥にわかれておるのです。徴税を行なっているのはキバオウ派の者達。彼らの中には自分の利益を追い求めた結果このような行動に走る者達もいるが、リーダーであるキバオウはこれを黙認している状態。一方、我々はシンカー派。シンカーは《軍》の最初リーダーで、一般プレイヤーのために様々な行動をする素晴らしい互助組織を計画したのだが、キバオウが台頭してからはどうもおかしくなってしまった。シンカーは現状を変えようとしていらっしゃるが、なにせ人数が足りなくて難儀しておるのです。それでキバオウ派の取り締まりがなかなか進まないのが現状となってしまっている」

 コーバッツがシンカーについてサーシャに説明していると、新たな来訪者が現れた。コーバッツの部下が連れてきたようだ。
 その姿を見るやいなや、コーバッツは音を立てて敬礼した。
「お疲れ様です、ユリエール」
 ユリエールと呼ばれた女性はサーシャに挨拶をするとコーバッツに向き直った。
「コーバッツですか。お疲れ様です。あなたはなぜここに?」
「キバオウ派の徴税部隊の取り締まりでな、徴税部隊の対象にされた子どもたちの保母に詫びを入れていたのだ」
「それでは、昨日の騒動はあなたが……?」
「ああ、そうだ。ここにいる者達の助けを借りてな」
「なるほど。昨日はお世話になりました。ギルドALF所属、ユリエールです」
「どうも、《リトルエネミーズ》のマルバです」
「《血盟騎士団》のアスナです」
「KoB……なるほど、連中が軽くあしらわれるわけです」

 それからユリエールは、シンカーがキバオウによって罠に嵌められ、高レベルダンジョンの奥深くにいることを話した。そして、彼女は頭を下げて頼み込んだ。
「私のレベルではとても攻略できません。そこに恐ろしく強い一団が現れたとの知らせを聞き、こうしてやってきた次第です。誠に厚かましいお願いではありますが、私と一緒にシンカーを助けに行っていただけないでしょうか」
 しかし、マルバたちがそれに返事をするまえに、コーバッツが口を開いた。
「ユリエール、貴様はなぜ我々にそれを頼まないのだ?」
「まさか、行けるのですか? 第六十層レベルの敵が出現するんですよ!?」
「問題ない。キバオウが前線に送り出した部隊は我々だぞ?」
「なんと……! それでは、まさかあなた達はキバオウ第五部隊の……?」
「ああ、そうだ。元、だがな。もはやわれわれは部隊ではない。彼らは私の部下ではなく友人なのだから」
「それでは、申し訳ないけれど、シンカーの救出を手伝っていただけますか」
「シンカーの危機とあらば動かざるを得まい。もちろん、喜んで救出に向かわせていただく」
「ありがたい……! 皆さん、お騒がせ
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