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蒼き夢の果てに
第1章 やって来ました剣と魔法の世界
第11話 男女七歳にして
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そう思い、そのタバサの部屋をもう一度、ゆっくりと見渡してみる。
 矢張り、あっと言う間に見渡せる部屋です。

 それにしても、これが、女の子の部屋ですかね。それも、元大公家のお姫様の。
 流石に、質素倹約を旨としている訳ではないと思いますし。そもそも、彼女の生家は国を乱そうとした罪を問われて潰されたはずでしたか。
 だとすると、彼女の騎士としての収入だけで母親の治療代や生活費と、自分の生活費を賄っていると言う事なのでしょう。

 これは、先ず、今晩からしばらくの間はハゲンチを護衛兼錬金術要員として召喚して、夜の間に活動資金の調達をお願いするしかないか。
 ノームには、宝石の類を集めて来て貰う必要が有りますし。何故ならば、式神達のお家用の宝石が必要ですから。

 そうして、取り敢えず、自らの生活に必要な物はハルファスに調達して貰って、この国の通貨に関しては、ハゲンチの錬金術に因って得た貴金属の売却で賄い、ノームが集めて来た宝石類の中で価値の高い代物は式神達の御家や、護符(タリスマン)の材料に。価値の低い物は売却して行けば、これから先の活動資金に事欠く事はないでしょう。

 タバサの部屋を二周ほど見渡した後に、そう結論付ける俺。後は、活動資金の管理を、どうやってタバサから預かって、俺の懐から捻出したお金を、タバサの給金に判らないように混ぜ込んだ上で、彼女に使って貰うか、の小細工を考えるぐらいですか。

 間違いなしに、簡単に受け取ってくれる訳は有りませんからね。

 そこまで考えてから、少し一息。何故か、これ以上考え続けていると、妙に所帯じみて来て、使い魔とも、式神使いとも違う、小市民的人間が出て来そうな雰囲気が濃厚です。
 少しは、異世界での生活に思いを馳せてみても良いでしょう。

 それならば、先ずはこの国に名前ですかね。
 窓から見える尖塔と、その背後に浮かぶ蒼い月を見つめながら、そう考える俺。

 そして、窓から、ゆっくりとタバサの方向に視線を戻す。
 それまでと同じように、俺の事を、晴れ渡った冬の氷空(そら)に等しい蒼き瞳で見つめ返す蒼き姫。
 表情は透明な表情を浮かべたまま。そして、そのメガネ越しの、やや温かみに欠ける、と表現すべき視線からは、感情を読み取らせる事は無かった。

 えっと、確か、タバサはガリアと言う国の元大公の娘で、現在は騎士様らしい。
 それで、彼女の親友のキュルケは、ゲルマニアと言う国の辺境伯の娘。
 最後に出会ったのは、ルイズで、トリステインの公爵の娘。

 結局、今日、出会った少女達は、全員出身国が違う貴族の姫様。
 但し、故に、この国の名前も場所も未だに判ってはいない状況。

「そうしたら、タバサ。そもそも、この魔法学院がある国は、一体、何と言う国なんや?
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