本編前
第三話
[1/8]
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
光陰矢のごとし、とはよく言ったものである。月日はあっという間に過ぎてしまう。
それが気が休まる暇もなく日々が過ぎていけば、特に。
僕が、小学校という気の休まる暇がない日々から、ようやく一息つけたのは入学式からほぼ一ヵ月後のいわゆるゴールデンウィークといわれる長期休暇が訪れたときだった。よほどカレンダー的な運に恵まれない限り、普通であれば祭日となる日付と曜日の都合上、長期休暇の間に一日だけ平日があるなんていうゴールデンウィークになるのだが、そこはさすが私立というべきか、平日であろうと学校自体を強引に休暇にしてしまった。つまり公立に通っている面々には申し訳ないが、事実上丸々一週間が休日となるゴールデンウィークの始まりである。
小学生になってはじめてのゴールデンウィーク。新たに友人になった面々も、保育園時代からの友人もどこかに遠出するらしい。無論、近場で済ませたり、何所にも行かないという連中もいたりするが、年齢が小学校低学年ともあって小数だ。そして、今回、僕の家はその例外に分類されていた。いや、別に親と不仲だとか、貧乏でお金がないなんてことはない。簡単に言うと、僕に弟か妹が出来たってことだ。もう五ヶ月らしいから、あと、五ヵ月後には生まれるはずである。そんな理由で、人ごみだらけのどこかに行くのは危険であるとの判断から、家でのんびりと、という選択になったわけだ。ちなみに、色々子供が出来る云々に関して知識のある僕としては、弟か妹が出来たと聞かされたときは、非常に微妙な気持ちになった。一応、おめでとうといったが、きちんと笑えていたかどうかは定かではない。ついでに、この選択は僕にとっても渡りに船だった。ようやく、誰にも邪魔されずにゆっくりできるからだ。まるで、日曜日のお父さんのような考えだが、そう考えざるを得ないぐらいにここ一ヶ月は過酷だった。
入学して一週間ぐらいはよかった。誰も彼もが新しい環境に慣れていないためだろうか。特に走り回るということもなく、穏やかというには若干賑やかな程度で日々を過ごせていたから。しかし、一週間を少し超えると、そこからは子供の本領発揮だった。もう少し大人になってくれればいいだろうが、つい一ヶ月前まではスモックを着ていたような面々だ。それが、制服を着たからといってすぐに大人びた行動を取れるはずもない。
つまり、保育園時代と同じようなことをしなければならない日々がまた始まったのだ。
廊下で走る奴がいれば注意し、転べば怪我をしていないか確認し、怪我をしていれば保健室へと連れて行き、スカート捲りなんて悪戯をする奴がいれば頭を叩き、スカートを捲られた女の子に謝罪させ、泣いている女の子を慰める。
これは日常のほんの一例に過ぎない。これ以上のことが毎日起き、その対処に追われるのだ。無論、それを無視
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ