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リリカルってなんですか?
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第二話
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ニングスさんのように向こう気が強い少女であればさらにドンである。

 おそらく、バニングスさんは今まで手に入らなかったものはないのではないだろうか。だからこそ、欲しいと思ったものは何が何でも欲しくなる。たとえ、他人のものであっても。

 やれやれ、そういう躾は、是非とも家族でやって欲しいものである。

「あのね、人のものを力づくで奪ったら泥棒だよ? 月村さんは嫌って言ったんだから、だったら諦めないと」

 僕は、彼女に諭すように比較的柔らかい口調で言った。これがもしも、自分の娘だったら頭を軽く叩きながら怒るのだろうが、生憎ながらバニングスさんと僕の関係はクラスメイトだ。叩いて怒鳴ろうものなら、彼女の親が飛んできてもおかしくない。僕の生前の記憶から鑑みるにいつの時代にもモンスターペアレンツなんてのはいるのだから。せっかく取った特Aの特待生だ。こんなことで棒に振りたくない。授業等々の金額を知っている身としては。

 しかも、彼女は、そこら辺の悪ガキのように頭が悪いわけではない。むしろいいほうに入るだろう。つまり、言い聞かせることも可能であろう、と僕は考えたのだが―――

「別にカチューシャぐらいいいじゃないっ!!」

 返ってきた答えは、実に我侭なお嬢様そのものとも言うべき言葉だった。
 その言葉に僕は、はぁ、とため息を吐かざるを得ない。

 これは、相当甘やかされたのかな?

「それは、バニングスさんから見たら月村さんのカチューシャなんて、そこら辺で売ってるただのカチューシャかもしれないけど、月村さんからしてみれば、バニングスさんの価値は当てはまらないよ。もしかしたら、大切な人から貰った贈り物で、月村さんからしてみれば、とっても大切なものかもしれない。それこそ、バニングスさんに渡したくないほどにね。想像してみよ。もしも、バニングスさんが、お父さんから貰ったものを、例えば僕から無理矢理奪われたどんな気持ち?」

 バニングスさんは、僕が言った状況を想像しているのだろうか、少しだけ思案したような顔になって、すぐに先ほどと寸分違わない憤怒の感情を載せた表情を僕に向けた。

「とってもむかつくわっ!」

 とりあえず、その行動はバニングスさんの中だけの想像だから僕に怒っても仕方ないからね、と思いながら僕は言葉を続ける。

「そういうことだよ。バニングスさんはそのとってもむかつくことを月村さんにしたんだ。止めて当然だよね?」

 僕の問いに彼女は無言。だが、彼女は聡明だ。すぐに僕の意味を理解してくれるだろう。

 ちなみに、僕の諭しだが、残念なことに僕の同級生に同等のことを説いても無駄だろう。まず、価値観という言葉自体が伝わらないのだから。幸いなことにバニングスさんには伝わったみたいだけど。

 やがて、
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