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リリカルってなんですか?
本編前
第一話
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の喉に小骨が引っかかったような不快感を拭うためには、考えに没頭しなければならない。こういうとき、知っている誰かに尋ねることが出来ればいいのだが、如何せん、僕のような体験をしている奴なんているはずがない。だからこそ、こうやって一人で頭を悩ませているのだが。

 やがて、クラスメイトたちの自己紹介も終わり、今年一年担任を受け持つことになる女性教師の自己紹介も終わった頃に丁度いいタイミングでチャイムが授業の終わりを知らせていた。
 そのチャイムと同時に担任教師は、十分間の休み時間を告げる。どうやら、次は授業の説明があるらしい。普通なら、さすが私立と驚嘆するところだが、生憎、今の僕は自分の記憶を探っているところだ。

 しかしながら、探り続けて十分以上経つのだが、上手いこと思い出せない。そもそも、プレイしたのはたった一度だけであり、バニングスさんのことを思い出せたのは特徴的な髪の色とあのCGを見たときの衝撃とアリサという名前が上手く合致したからだ。つまり、何かきっかけがない限りこれ以上思い出すことは不可能だろう。だが、そう簡単に切欠なんて―――。

 そう考えている僕の目の前にすぅ、とピンクのリボンでラッピングされた百円ショップで売ってそうな袋を目の前に差し出した。中身はたぶん、プレーンとチョコのたった二枚のクッキー。

 突然、目の前に出された袋に驚いて差し出された方向に顔を向けると、その方向には満面の笑みで袋を差し出す女の子姿が。

「えっと……確か……」

 少し色素の薄い茶色の髪の色にツインテールというには若干短い髪型をした女の子。確か、名前は―――

「高町なのは、なのはだよ」

 名前に引っかかっている僕に女の子―――高町さんは、笑みを浮かべたまま自分の名前を告げる。
 その瞬間、僕の脳裏にどこぞの名探偵のように雷撃が走った。

 ――――っ!!

「あ、ありがとう」

 あまりの衝撃に僕はとりあえず、そんな簡単なお礼を言うことしかできなかったが、高町さんはそれで納得したのか、再度、ニコッと子供が浮かべる特有の笑みを浮かべると「これからよろしくね」と告げて、次の席にクッキーを渡しに行った。

 僕は、とりあえず、受け取ったクッキーを机の中に入れて、先ほど思い至った事実に思考を集中させる。

 ああ、そうだ。そうだ、思い出した。そう、彼女―――アリサ・バニングスという少女の最初で最後の友達は高町なのはだ。彼女がアリサ・バニングスのために泣いたがために彼女は成仏したはずだ。
 ……アリサ・バニングス……だよな? なんだか微妙に違和感を感じているような気がするが、何にせよ彼女があのときの少女と瓜二つであることは間違いない。

 ふぅ、思い出せなかったものが思い出せて、これですっきりした、と思うのもつ
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