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リリカルってなんですか?
本編前
第一話
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クラスの立ち位置が決まるというものだが、小学生の身分ではそれはありえないようだ。言うことも目の前に立つまだ若い教師によって決められている。それは、『自分の名前』『嫌いなこと』『好きなこと』の三つである。

 自己紹介が進む。僕の順番は『くらもと』であるだけに頭から数えたほうが早かった。今は、ジェンダーフリーという時代なのか、男女の出席番号はごっちゃ混ぜになっている。僕の記憶があるころは、男子が最初、女子が後だっただろうか。個人的な考えを言うと、男女の差別はいけないと思うが、区別ぐらいはしなければならないと思うが、これは今は関係ないことである。

 僕の自己紹介は適当に流しておいた。名前は『蔵元翔太』で、嫌いなことは『暇な時間ができること』、好きなことは『身体を動かすこと』である。生前は、だらだらするのが趣味に近かったが、こちらに来て子供と一緒に遊ぶようになって身体を動かすのもいいものだ、と思い始めた。
 どうやら、近所にはサッカークラブもあるらしいから、機を見て親に入れるように頼んでみようと思う。

 さて、そんな感じで軽く流した僕の自己紹介であるが、僕以外の子はというと、こういうことは初めてなのか、緊張し、つっかえながらも一生懸命に三つの質問に答えていた。しかしながら、こうして自己紹介のときに顔を見るのだが、このクラスの人間は割とカッコイイ、可愛いと形容されるべき容姿を持つ男女が多いように思える。まるで、入学試験の項目に容姿という欄が備え付けられているのではないだろうか、というべきほどに。髪の色も茶色や少し色素の薄い人間のほうが多いという、生前の真っ黒な人間ばかりがいる中で授業を受けていたみとしては信じられない光景だった。

 その中でも一番目立つのはやはり彼女だろうか。今から、自己紹介を始める女の子。長い金髪を後ろに流し、白人の血を引いているのであろう白い肌を見せながら、意志の強い眼光を見せる女の子。

「アリサ・バニングスです」

 そう、彼女―――アリサ・バニングス……ん?

 その名前がどこか引っかかった。記憶の奥底に微妙な違和感。漫画などであれば、何かしらのフラグで、ここで邪魔されるのだろうが、今は自己紹介の最中。自分の考えに没頭しても邪魔する人間など存在しない。だから、自分の内心にもぐりこみ、記憶の泥を探る。

 アリサ、アリサ・バニングス。この世に生まれてから、彼女と出会ったことはない。あんな目立つ女の子なら、忘れろ、というほうが無理である。ただでさえ、僕は前世の経験をもっており、簡単に物事を忘れないという特性を持っているのだから。だが、その特性を持ってしても彼女の名前にかすりなどしない。僕が知っている名前はすべて日本人的なもので外国人のような響きを持った女の子など知らない。

 ならば、前世……? と考
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