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その男ゼロ ~my hometown is Roanapur~
#04 "What do you think about?"
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どんだけ祈っても、泣いても無駄だと。気付かなきゃあ、おっ死ぬだけさ。
アタシはまだ運がいい方さ。結構早い時期にキッチリ気付かせてもらったよ。
無実の罪でアタシを半殺しにしてくれたお巡りのクソ野郎どもにね」

レヴィの、過去か。全然違うんだな、俺の過ごしてきたそれとは。
当たり前と言えば、あまりに当たり前な話だけど。

「連中がアタシをシバキまわしたのはな。スラム街に住んでる、ただそれだけの理由だよ。
クソ溜めに住んでる中国人のメスガキにはな、頼れるものなんざなかった。 神の愛なんて胡散臭えもんより、一粒の痛み止めの方が有難えってもんだよ。
結局それを買う金すらないんだけどな」

知識としては知っていた。常識として知っていた。
世界では多くの子供達が過酷な環境におかれていると。
平和な日本じゃあ考えられないような事態が日常化していると。

けど、

「それからアタシは"金"を求めた。"銃"っていう"力"と併せてな。"金"と"力"。この二つを手に入れてからだよ。アタシが漸く生きられるようになったのは」

…金

……銃

………力

「それで、君は満足なのか?」

「ああ、満足だよ。 アンタには分からないかもしれないけどね」

レヴィの言葉は常に真っ直ぐだ。真っ直ぐに俺に届く。
あまりに真っ直ぐ過ぎて、とても俺には受け止められそうにない………

「ロック。アタシとアンタは違う。色んなもんが違う。過去も考え方もな。でも今は仲間だ。そうだろ?だからこんな話をしたのさ」

過去、か。

「君の過去は…」

「喋んな」

俯きながら発した俺の言葉は途中で遮られる。
俺の話は聞く価値も無い、か?

「まさか、同情してくださろうなんて思ってねえよな。そんなもんアタシが欲しがってると思うか」

同情。

「同情ってやつはね、人を傷付けるんだよ。
そりゃ同情する方は気持ちいいだろうさ。 哀れで惨めで可哀想な連中にお恵みを分け与える。それこそ神様にでもなった気分でも味わえるんじゃねえの?
だけどよ。同情をされた方はどうすりゃいいんだ? 地面に頭擦りつけて、靴でも舐めて、 お礼でも言やあいいのか?」

「アタシは仲間のアンタにね。
世の中に溢れかえってる腐れ偽善者みたいな事はして欲しくないんだよ。そんな事はパームビーチに住んでる金持ちのクソデブや、自分を着飾る事しか頭にねえクソ女どもに任しときなよ」

「アタシの言いたい事が分かるかい? 綺麗事をほざくなんざ止めちまいな。少なくともアタシの前では止めてくれ。アタシはな」

次に発せられたレヴィの言葉は、何より真っ直ぐに、重く、俺の胸を(えぐ)った。













"アンタを
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