第七十六話
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ユカリは油断無く構える。
「ふっ…小娘にしては中々やるな。…だが、今のでも私を殺す事は叶わない。どれ、今度は此方の番だな」
ヴォバン侯爵は直ぐに嵐を操ると上空にいるユカリと目の前のユカリへと雷をぶつける。
雷の落下速度は楽に音速を超える。
見えたと思った瞬間にはすでに着弾しているのだ。ヴォバン侯爵が本気で操った雷は四方から降り注ぎ、常人ならかわしようが無いだろう。
「なんだ…少しはやるものと思ったのだが、やはりただの人間か…」
地面は抉れ、落雷のあったあたりは焼け焦げている。しかし、一瞬レーヴェの防御魔法の発動が速かったのか、地面に居るユカリは何とか防御魔法で凌いでいた。
それを見たヴォバン侯爵は気色ばむ。もっと楽しませろ…と。
しかし、絶対的な強者の驕りか。矜持と言えば良い様に聞こえるかもしれないが、彼はいつも心の何処かに慢心がある。
「む?」
ヴォヴァンは嫌な気配を感じ振り返る。するとそこには全くの無傷のユカリの姿が遠くに見えた。
空中から凍結魔法を撃った彼女も実は影分身だったのだ。本体のユカリはヴォバン侯爵からは死角になる背後のビルの屋上に陣取り魔法を起動していた。
上空に居たユカリはさっきの雷で消えてしまったが、ユカリはまだ罠を張っていたのだ。
「そう何度も奇襲が成功すると思うなっ!…ちぃ!?」
『レストリクトロック』
しかしやはりバインドによって拘束されるヴォバン侯爵。雷による攻撃で地面に縫い付けられながらも影分身のユカリがヴォバン侯爵を拘束したのだ。
「彼方より来たれ、やどりぎの枝。銀月の槍となりて、撃ち貫け!石化の槍、ミストルティン!」
落雷によるけん制は実はかなり難しい。何故ならその速度ゆえに止っているもの以外は狙いを付けづらいのだ。さらに直射されてくるユカリの魔法に当て相殺する事もまた不可能だろう。
飛んでくる拳銃の弾を自分の拳銃の弾で打ち落とせる奴が居るだろうか?…写輪眼や神速を使えるアオやソラなら出来るかもしれないが…
空間を認識し、落下地点を決め、呪力を行使し、実際に落雷する。落雷はそれこそ一瞬だったとしても、その前にユカリの攻撃は着弾するだろう。
ヴォバン侯爵はもはや直感で従僕達を顕現し、己を守る。
しかし、ユカリの放った石化の魔法は途中で幾つもに分裂し、従僕達をすり抜けてヴォバンに着弾した。
「なっ…んだと…!?」
先ほどからユカリが使っていた魔法が直射だったからだろうか。まさか分裂するとは思わなかったヴォバン侯爵はあっけないほど簡単に石化する。
ユカリは復活を警戒し、その杖を下げない。
ヴォバン侯爵のオーラは目減りしていた。無限に復活できるのか、どうなのかは分からないが、オーラを大
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