第七十六話
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れば奪われる。
ユカリは直ぐに戦闘態勢を整える。漆黒の竜鎧を纏い、二丁の銃剣が現れた。
ユカリは相手がおそらく甘粕から聞いたカンピオーネでは無いかと推察していた。
貪る郡狼…狼を使役するカンピオーネ。
神やカンピオーネに念能力は通じにくいとアテナ、護堂との戦いでユカリは学んだ。なので今回は最初からガンブレイドを握り締めている。
ガンブレイドに魔力刃を纏わせ、目の前の狼を切りきざむと絶命した狼は塵となって消えていく。おそらく生身の生物では無いからだろう。
狼を始末し終えるとユカリは襲撃者を探すべく玄関から外へと飛び出した。
幸いな事に夜も10時を過ぎており、住宅街には人の気配が少ないのは幸いか。
玄関を出ると、道路に一人の初老の男性が立っていた。
その脇には狼を従えている。
「おやおや、中々勇ましいお嬢さんだ。この私に恐れずしてかかって来る者など久しく居ないな」
「いきなり襲われる謂れは私には無いのだけれど」
「それはすまなかったな。まつろわぬアテナが出入りしているのだろう?おとなしくアテナの居場所を教えよ。さもなければ…」
「あら、教えたら引いてくれるのかしら?」
「ふむ、考えるとしよう。ああ、しかし、おぬしとの闘争も暇つぶしくらいにはなりそうだ。最近私は闘争に飢えていてね。分かるだろう?カンピオーネが真に高ぶるのはまつろわぬ神との闘争だけだ」
「いや、知りませんし、私に関係の無いことですね。それと私はアテナの居場所は知らないわ。アテナに会いたかったら明日の夕方に出直してきてくれないかしら」
「ふむ、まことに残念なことだな。無駄足となればおぬしを殺したあとゆっくりアテナを待つ事としよう」
だめだ、こいつにはもはや常識も倫理も持ち得ない。
自分の欲望が第一で周りの雑事は気にかけない。
強い力を持つものが良く見せる歪みの一つの典型だろう。
「そうですか…では貴方も命を懸けてくださいね。自分の命を奪いに来た人間に情けをかけるほど人間出来ていませんので」
アテナとの戦いはまぁ…きっちり首をはねた上で蘇生されたのだ。殺した上で甦るなんて非常識にはどうやって対処すればよいのか。
アテナはその後、戦闘行為を控えていてくれるから助かっているのだが…
しかし、甘粕から聞くに手前のカンピオーネと呼ばれる存在も殺して死ぬような存在では無いらしい。…けして死なないと言うわけでは無いらしいが、生き返っても不思議ではないそうだ。
「はははははっ!ただの人間が言うではないか。では存分に私を楽しませろ」
それが戦闘の合図だった。
ヴォバン侯爵の周りに血の気の引いた人影が突如として4体現れる。
死せる従僕の檻。
ヴォバン侯爵の
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