第七十六話
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れは…ありがとう」
はっ!?と、甘粕が居た事を思い出し、視線を向ける。
「いやいや、私は何も見ていませんよ」
甘粕は何事も無かったような雰囲気で紅茶を飲んでいたが、実は甘粕に視線が向く前に懐にしまったデジカメには今の光景を写真に収めていた。
「そ、そうでうよねっ!甘粕さんは何も見ていません」
「ええ」
そんな感じで、厄介事などユカリは来なければいいと願いつつ、夜は更けて行った。
◇
東京の街を一人の少女が何か探すように歩いている。
銀髪をポニーテールにまとめた外国人の少女だ。
リリアナ・クラニチャール。
出生はイタリアで、魔術結社『青銅黒十字』に所属する騎士だ。
エリカと同年代で、何かにつけてエリカと比較されたりする事も多いが、実際同年代で彼女と実力が拮抗しているのはエリカくらいのものだろう。
そんなリリアナがなぜ日本なんかに来ているのか。
それはリリアナがヴォバン侯爵の騎士として近くに侍っているからである。
そんなリリアナがヴォバン侯爵に命令された事は二つ。
まつろわぬアテナと万里谷祐理の捜索だ。
アテナはともかく、なぜ万里谷祐理を探すのか。
それは星のめぐりで数ヵ月後にまつろわぬ神を招来する儀を執り行える。万里谷祐理の巫女としての素質は高く、彼女を基点とすれば本来なら何百と言う巫女を用意しても不可能に近いまつろわぬ神招来などと言う儀式も少しの労力で行えるだろうと言うヴォバン侯爵の思惑ゆえだ。
リリアナの心境としては親しい仲ではないが旧知の人物である祐理を捜索するよりもアテナ捜索を優先したい所だった。
本来の物語ではリリアナにアテナを探し出せと言うような命令は出されなかっただろう。
しかし、ユカリがアテナを封時結界内で倒してしまった。
カンピオーネとまつろろわぬ神の戦いは回りに被害がつき纏う。
であるのに、今回日本に被害らしい被害は出ていない。
アテナの権能で街に闇が広がり光が奪われると言う超常現象が報告されていたが、それだけだ。
アテナと戦闘を行ったにしては余りにも被害が少なすぎるのだ。
そのためヴォバンはまだまつろわぬアテナが日本に滞在しており、どこかの組織が隠蔽しているのではと考えたのだ。
見つかればよし、見つからねば祐理を使い自ら神の招来を行うのでヴォバン侯爵にしてみたらついでのようなものだったのだが…
それにしてはリリアナ・クラニチャールが優秀すぎた。
かすかなアテナの神気を頼りに、魔女であるリリアナの霊視と言うあやふやな能力も今回はプラスに働き、今リリアナはユカリの家の前まで来ていた。
おそらくこの家はまつろわぬアテナとなんらかの関係が
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