第七十六話
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翌日の放課後、甘粕は七雄神社に祐理経由でエリカ、護堂を呼び出した。
「昨日のヴォバン侯爵来日の知らせから一日しかたっていないのだけれど。呼び出したって事はなにか進展があったのかしら?」
と、エリカが吹っ掛ける。
「はい。なかなか困った事になりました」
「へぇ、あなた達の手に負えなくてわたし達に手を貸して欲しいと?」
「ある意味ではイエスであり、ある意味ではノーです」
甘粕の曖昧な答えにエリカが目を細める。
「実はヴォバン侯爵が身罷られました」
「うそっ!?」
「そんなっ!?」
驚いたのはエリカと祐理。
「えっと、そのヴォバンって爺さんが死んだって事か?」
護堂が二人とはテンションが違うトーンで聞き返した。
「ええ。それはもう見事な石柱でしたなぁ」
「アテナにやられたっていうの!?」
「まさか私共もカンピオーネの最後を報告しなければならなくなるとは…」
と、エリカの問いに甘粕がかぶりをふって答えた。
護堂はカンピオーネでも死ぬんだな程度にしか感じていない。
何故なら、最近悪さをしていないアテナを襲い、その果てに殺されたのなら自業自得であるからだ。
その後、報告は以上だと帰る甘粕をエリカは一人で追いかけ、問いかける。
「…それで?本当はどうなのかしら?」
本当は?と言うくらいだからエリカはユカリが降したのではと疑っている。いや、ユカリの方が可能性が高いのではとさえ思っている。
「事実はヴォバン侯爵が石化して亡くなっていた。それだけですよ」
「そう…そうなのね。分かったわ、わたしの方でもその線で話を流布させれば良いのよね?」
頭の良いエリカは言葉の裏に含まれた事実を的確に認識した。
「はい、お願いします。いやぁ、これからの事を思うと胃が痛い思いでして…」
「…本当ね。…本当に彼女とは距離を取って、絶対に護堂を近づけないようにしないといけないわね。前回の事は護堂も謝ったし、彼女も水に流すと言っていたのだけれど、それは相手が殺しに来たわけじゃ無い…からなのよね。
自分を殺す相手に容赦は無い。そしてカンピオーネすら石化させる事が出来る力を持っている。…今の護堂では確実に殺されるでしょうね」
「さて、私には何を言っているのか分かりかねますな」
と甘粕はとぼけてその場を辞した。
「坂上紫、絶対に手を出してはいけない存在…ね」
そう言ったエリカの呟きは風に乗って消えた。
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