第七十六話
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量に消費するタイプの技だろうとあたりをつける。
で、あれば復活できなくなるほど殺すまでだ。
ユカリは再び影分身をして魔力を集束する。
しかし今回は変化が起きた、従僕達が今度は塵にならず、光となって天へと上っていったのだ。
その後、ヴォバンの足元からも多数の光が天へと還る。
それはヴォバンの権能のくびきからようやく抜け出すことが出来た魂の輝きだった。
今度こそヴォバン侯爵は復活をすることなく沈黙した。
「っ…はぁ…まったく、次から次へと…面倒はこれっきりにして欲しいわ」
ユカリは警戒のレベルを下げると影分身を回収し、この石像を庭へと移動させると一応バリアを張り、封時結界を解除して家の中へと戻った。
◇
リリアナ・クラニチャールは主の蛮行を離れた所から見ていた。
貪る郡狼が家を破壊しながら突き進み、家人を連れて出てくるだろう。
しかし、その予見は外れる。
進入した狼を皆殺し、悠々と出てきた漆黒の騎士。
彼女がいくつかヴォバン侯爵と会話をした後、二人とも突然に忽然と姿を消したのだ。
リリアナはヴォバンの何かの権能なのかと考えた。
カンピオーネに常識は通用しない。想像を超えた能力を持っていたとしても不思議ではないのだ。
十数分の時間が過ぎて突如監視していた家の庭に大きな人狼の石像が現れた。
傍らには件の黒い騎士が立っている。
ヴォバン侯爵の姿は見えない。
何処に行った?まさか彼女はヴォバン侯爵から逃げおおせたのだろうか?
いや、とリリアナは目を閉じ首を振った。
現実を見ろ。突然現れたあの人狼の石像は何だ?
いや、リリアナは既に答を出している。
あれがヴォバン侯爵だ。
「あり…えない…」
それでも自然と声が漏れる。
残虐非道な振る舞いで他者を圧倒し、暴虐の限りを尽くしてきた魔王が石化している!?
しかし、魔王である侯爵があの程度で本当に死んでいるだろうか?
ヴォバン侯爵に仕える騎士としては命を賭して助けに行く場面であろう。しかし、リリアナには命を賭しても成功するとは到底思えなかった。
なぜなら魔王を打倒した存在が健在なのだから…
それも外傷などはほとんどない。
一瞬で甲冑が解除されその中から出てきた少女はどこもダメージを負っておらず、黒い髪をなびかせて家に入っていく一瞬、リリアナは彼女と視線が合った。
気付かれたっ!
そう思った時リリアナは飛翔魔術で夜空をかけてその場を離れた。
結局そのままリリアナは日本を去りイタリアへと戻る。
しかし、日本で見たことに関しては口をつぐむ事に決めた。
魔王すら打倒する少女に要らぬ恨みを買わぬ為に。
◇
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