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『もしも門が1941年の大日本帝国に開いたら……』
第六話
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……暗くなりますね」

 空は既に闇に包まれようとしていた。

「連絡が来るのが遅かったからな」

 樹は知らなかった。

 あの死神と出会うのが夜中だという事を……。


「それと私はヒルダで構わないぞ。国の皆もそう言ってたからな」

「そうか、ならヒルダと呼ぶからな」


 コダ村の住人が集団で逃げ出す一日前に、三人の家族がコダ村から逃げ出していた。

 三人だけでは危険だとコダ村の村長達は言っていたが、夫はそれを聞かずに妻と娘を連れて一足早くにコダ村から逃げ出した。

 しかしそれは間違った判断であり逃げ出してから二日目の夜に十数人の盗賊に襲われた。

 夫は首をはねられて即死して、妻と娘は今まさに盗賊達に奪われようとしていた。

「お頭ぁ。これは中々の上物ですぜ」

 したっぱの盗賊が捕らえた妻と娘を見て盗賊のお頭に言う。

「まぁ待てお前ら。最初は俺からだぜ」

 お頭は震える妻と娘を見ながらニヤリと笑う。

「母さん……!!」

「エミリア……」

 妻と娘は身体を抱きしめる。

ブオォォォォォンッ!!

「あん?」

 その時、何かの音が聞こえた。

「な、何だありゃッ!?」

 盗賊のしたっぱが声をあげた。南西の方向から光が近づいてきたのである。

「お、落ち着け野郎どもッ!!」

 ざわめくしたっぱ達に盗賊のお頭は落ち着かせようとするが光はドンドンと近づき、盗賊達を引いたのである。

「ぐぎゃッ!!」

「グアッ!?」

 光は物体であった。

「な、何だこりゃッ!!」

 盗賊のお頭がそう叫んだ時、物体の扉が開きタンと盗賊のお頭の頭を撃ち抜いたのである。

「水野ッ!! 凪払えッ!!」

「了解ですッ!!」

 樹が叫び、荷台にいた水野兵曹長が九九式軽機関銃の引き金を引いて盗賊を掃射していく。九九式軽機関銃の七.七ミリ弾は盗賊達の鎧を貫き、次々と倒れていく。

「おのれ盗賊どもめッ!! か弱き女を犯そうとしやがってッ!!」

 ヒルデガルド――ヒルダが剣を抜いて逃げようとする盗賊の後ろから斬りつけている。

 摂津中尉が盗賊に強襲してから五分が経つと、盗賊達は全て地面に倒れていた。

「……作戦終了やな……」

 樹は目を凝らして辺りを見ていたが作戦終了を告げた。

 樹は目を凝らして辺りを見ていたが作戦終了を告げた。

「大丈夫ですかッ!?」

 車上にいた水野兵曹長が荷台から降りて妻と娘に問う。

「は、はい」

 妻は物体から人間が降りてきた事に驚きつつも頷いた。

「中尉、もう一人は……」

「……あかん。もう亡くなっている」

 倒れていた夫の様子
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