第三章
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「俺は若い頃からそうしてきてな」
「これまでですね」
「生きてこられたからな」
「ビスタチオを入れて」
「そしてアッラーにお祈りをしてな」
このことも忘れなかった。
「生きてこられた、だからな」
「それで、ですね」
「俺達にも言うんですね」
「ビスタチオを持って行けって」
「何でもないものだって言うとな」
長老はそうすればと話した。
「そうだが俺は今も生きてるからな」
「物騒な場所を通っても」
「砂漠を通ってもですね」
「ああ、この仕事も危ないだろ」
キャラバンのそれもというのだ。
「それでおまじないにいいって若い時に聞いてな」
「それからですね」
「ずっとですね」
「ビスタチオ持っていますね」
「街と街を行き来する間な、そして持っていたビスタチオはな」
それはというと。
「食うんだよ」
「街に着くと」
「そうしていますね」
「ああ、じゃあ食おうな」
長老はこう言って実際に食べた、そしてハシャーンもだった。
懐から出したビスタチオを食べた、それは普段食べるそれよりも美味く感じて長老に笑顔で言った。
「美味いです」
「そうだろ、俺達を守ってくれたからな」
長老は彼に微笑んで言った。
「尚更だ」
「美味いんですね」
「それでお前もこれからも持っていくだろ」
長老はハシャーンに問うた。
「街と街を行き来する間な」
「はい、ビスタチオ持って行きます」
笑顔でだ、ハシャーンは答えた。
「そうしていきます」
「そうしろ、そしてな」
そのうえでというのだ。
「生きていくぞ」
「この仕事やっていっても」
「いいな、じゃあ一仕事終わった」
長老は今度は笑顔で話した。
「飲みに行くか、皆でな」
「いい店知ってますか」
「この街にも何度も来てるんだ」
それでというのだ。
「知ってるさ、じゃあな」
「はい、飲みましょう」
「旅の安全を祝ってここでの仕事の成功を願ってな」
笑顔で話してそうしてだった。
長老もハシャーンも仲間達と共に飲みに行った、そのうえで街で商売をし次の目的地に向かった。その時誰もがビスタチオをポケットの中に入れてアッラーに願った。すると今度の旅もまた難なく終えられた。
ビスタチオ 完
2025・2・12
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