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エヴァンゲリオン REAL 最後の女神
使徒大戦
第一章
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子もボクがもらうよ」
「そう、好きにすればいいわ。でも弐号機パイロットは殺させない。碇君が悲しむから」
「!」
 アスカは屈辱に顔をゆがめた。死の恐怖に(おび)えて震えていたところをファースト、つまりレイに救われたのだ。そしてその理由が、自分ではなく、シンジのためだという。
「よけいなことしないでよ! アンタなんかに、アンタなんかに助けられたくないわよ! おまけになんでATフィールドがはれるのよ! アンタも使徒なんじゃないのっ?」
「……あなたの意見は聞いてないわ」
「くっ……!」
「あまり長くはもたない。さっさと出て」
 レイの言葉通り、レイのATフィールドを槍はじわじわと浸食していた。
 アスカもせっかく助かった命を投げ出すほどバカではない。言いたい罵詈雑言(こと)はいくらでもあったが、ぐっとこらえて緊急脱出装置(イジェクション)を作動させようとする。
 だが、作動しない。慌てて座席を蹴ってプラグの上部の手動ハッチにとりつく。
 ここには緊急用のエントリープラグカバー固定ボルトの爆砕スイッチがある。それを作動させれば手動で開けられるようになるのだ。
「!」
 しかし爆砕ボルトも作動しなかった。完全にシステムから独立した機械的なものであるにもかかわらず。
「早く……っ!」
 レイの声に焦燥(しょうそう)が混じった。だが、アスカがその期待に応えることはできなかった。
「だめ! 開かない! 開かないのよっ!」
「……!」
 カヲルは二人の苦闘を冷ややかに(なが)め、槍を握る手にさらなる力を込めた。
 シンジは何もできず、二人の奮闘を見せつけられていた。綾波は、変わっていなかった。使徒大戦をくぐり抜けてきた戦友の心を無くしたわけではなかったのだ。そうでなければどうしてアスカを守ろうとするだろうか。
 そしてアスカは自分に助けを求めた。あのプライドの高い少女が自分に。それに答えることができないなんて。
 大事な二人が、いま、自分の目の前で、死の顎に砕かれようとしているのに何もできないなんて!
「いま動かなきゃ……! いま動けなきゃ意味ないんだよッ! だから……だから母さん! お願い、もう一度だけ力を貸して!」
 だが初号機は沈黙したまま。
 ……いや、そうではない。ほのかに気配が立ち上がったのを、シンジはかすかに感じた。
 それはわずかの覚えがある、一五使徒会戦時の気配と似ていた。だがそれよりも、圧倒的に巨大な。
 これは母親ではない。シンジは自分の間違いに気がついた。あのとき母親に会ったと思ったのは、母親のわずかに残った残留思念、残り香のようなものであったことに。
 いま、鼓動が早くなっていくように、脹れあがっていく気配。自分の存在よりも、圧倒的な──。
「……これが……これが初号機の……本当
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