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エヴァンゲリオン REAL 最後の女神
使徒大戦
第一章
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なってんのよ、これっ!」
『よかった、つながって。弐号機はいま、どうやってか分からないけど、カヲル君に操られているんだ。カヲル君は敵だったんだよ!』
「エヴァを外部から操ってるですって!? 人型の使徒ってこと!?」
『分からないよ! カヲル君は使徒じゃないって言ってるけど!』
「このバカ! そんなことできるのは使徒に決まってるでしょ!」
 二人の会話に割り込むように、エヴァ同士の通信が復帰した──いや、カヲルによって復帰させられた。
「ボクは使徒じゃないよ。ただ『ヒト』であるだけで。槍もエヴァも、『ボクたち』が使うために作り出された力だからね」
「ふざけんじゃないわよ! 弐号機はアタシのものよ! アンタなんかに好きにさせてたまるもんか!」
「……君には優雅さの欠片もないね。好意に(あたい)しないよ。もちろん弐号機なんかに興味はない。こんなおもちゃは因子の回収がすんだらどうとでもするがいいさ。もっとも……」
 カヲルは、さも楽しげに笑う。
「……そのときには君も生きてはいないだろうけど……ね?」
 一流の指揮者(コンダクター)のように典雅(てんが)に、カヲルが腕を振りあげる。その動きをなぞるように、ロンギヌスの槍が音もなく舞い上がる。そしてその切っ先の軌跡が、残像として残る。否、それは残像ではなかった。空間に漆黒の裂け目が存在していた。そして、その闇色の傷口を、スパークするプラズマが(いろど)った。
──ズン!!
 床を震わせたのは、その傷口を押し広げるように空間を裂き、踏み下ろされた巨大な足。
「……!」
 プラズマの尾を引いて、空間の裂け目から顕現(けんげん)する(まばゆ)い白銀の姿。
「いまだ覚醒前のボクの身では、直接使徒の因子をその身に取り込むことはできない。やはり、リリスの傀儡(くぐつ)を介さないとね」
 ひどく楽しげな口調で、歌うようにカヲルは言った。その言葉に首肯するように膝をつき、頭を垂れた巨人。それは──。
「エヴァ……!」
 シンジの脳裏にVanishedの文字とともに消滅したアメリカ第二支部の映像がよぎった。あれは、確かに、エヴァンゲリオン。第二支部とともに消滅したとされる、S2機関搭載試験タイプ。
「四号機……なんで、いまここに?」
 呆然と見下ろすシンジの目の前で、カヲルが身軽に四号機の腕を蹴って、肩へと飛び上がっていく。尋常ではない身軽さである。
 主に(ひざまづ)く騎士のように頭を垂れる四号機の、延髄を覆うカバーが動き、エントリープラグが排出される。わずかにこぼれたLCLだけを残して、カヲルの姿がその中に消えた。
 捻り込まれるようにエントリープラグが自動挿入される。
 黒々と落ち窪んだ眼窩(がんか)に、地獄の炎のような禍々しい深紅が、二つ(とも)った。
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