動く事態
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……何でだ」
その女は不満そうな顔をする。
『場合によっては部下に出来るかもしれないと思ったからよ。兵力増強は必要不可欠でしょ』
「………まぁ、無理なら無理で運命は決まったも同然だしな。同情はしないけどな!」
意気揚々とその女は簪を連れてそのまま海を渡る。
だがこの時、事態は既に進行していた。その女が思っていたこととは違う方に。
■■■
そしてここは管制室。その場には千冬と真耶がいた。楯無から二人に現状が説明され、すぐに事態を収拾するために彼女らがここにいたのだ。
「教師部隊は編成してただちに出撃! 更職簪の救助を最優先とする!」
『了解!!』
回線からその声が聞こえ、教師たちはすぐに仕度をする。
すると、真耶が一度驚愕してすぐに千冬の方に向いた。
「先生!」
「どうした?」
「学園の方からISが飛び立ちます。このコアは―――ディアンルグです!」
「なんだと!?」
おかしい。すぐに千冬はそう思った。
さっきまで彼女は1組にいて、彼はそこで執事として仕事をしていた。一体どういう手段で知ったのか謎だった。
「山田先生、今すぐ風宮に繋いでくれ」
「わかりました―――あれ?」
「どうした?」
「さっきまでコアの反応が―――あ、出てきました! ちょっと待って―――あれ!?」
「何をやっている……」
「違うんです! 何故か消えて―――あ、出てきた」
真耶は急いでキーボードを操作して通信回線を開いた。
「風宮君! 何をやっているんですか! 今すぐ戻ってください!」
『………』
しかし、相手は完全に無視をしている。
すると、ディアンルグの反応が消えた。
「………何?」
今度は千冬も目撃しており、彼女も眉をひそめる。
そしてしばらくすると、ディアンルグの反応が現れた。さっきとは違い、かなり離れた場所で。
「風宮、何をやっている! 今すぐ学園に戻れ!」
『………無理ですね』
「なぜだ!」
『敵は既に捉えているのですぐに交戦できるから―――と言えば納得しますか? まぁ、近くにゴミが彷徨いているので今すぐ撤退させるように連絡してください』
それだけ伝えると、祐人は一方的に通信を切った。
「山田先生、ディアンルグの近くにコアの反応はいくつあるか確認してくれ」
「あ、はい………えっと、白式、打鉄弐式、そしてアメリカの第二世代型IS『アラクネ』、ディアンルグ………それと別のコアが接近してきます!」
「………束か」
千冬は真耶に祐人宛てに伝言を伝えるよう指示し、自分は携帯電話を取り出して電話した。
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