第二章
[8]前話
「その時に」
「怖い絵を観て」
「泣いたんですが」
「心に残ったかな」
「妙に。それで今もです」
筆を動かしながら話した。
「時々です」
「描きたくなるんだね」
「あの時のインパクトが凄くて」
「そうなんだね、子供の頃の衝撃は」
心に受けたそれはというのだ。
「やっぱりね」
「残りますね」
「うん」
まさにとだ、康友は答えた。
「そうだからね」
「僕もですね、あの時は怖くて泣いても」
「心に残ったんだよ」
「そうですね」
「そして」
そうなりというのだ。
「今もだよ」
「描いていますね」
「そうだよ、今は怖くないね」
「はい、別に」
淳一はそれは否定した、キャンバスの前に座って絵を描いている。
「怖くないです」
「それならいいよ」
「そうですか」
「そう、そしてね」
「今もですね」
「描いていくといいよ」
淳一に笑顔で告げた。
「絵はね、心にあるものを描くから」
「僕の心をですね」
「そのままね」
「だからですか」
「描けばいいよ、僕もそうだしね」
「部長さんは虹をよく描きますね」
「子供のころ虹を見てね」
康友はそれでと答えた。
「印象に残ったからね」
「今もですね」
「描いているよ、じゃあお互いに」
「心にあるものをですね」
「描いていこう」
「わかりました」
淳一は康友の言葉に笑顔で頷いた、そしてだった。
その絵を描いていった、彼が描いたその絵は人に恐怖を浮かび上がらせるものだった。しかしそれは彼の心にあるものでありそのことは正しく評価された。
怖い絵を観て 完
2025・7・19
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