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その答えを探すため(リリなの×デビサバ2)
第3話 献身
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。慌てたように質問をする。

「ティコに聞いた。ジュンゴ、このままじゃ死ぬって」

「あぁ、君の死はアカシックレコード――絶対的な運命によって決定づけられたものだ。本来なら、それを回避するなど不可能な事だろう」

 ティコから言われ、自分でも覚悟をしていたのだが、やはりその言葉を聞いた途端、絶望で意識が遠のきそうになる。だが、これはあくまで分かり切っていたことであり、本番は此処からだ。純吾は意識を無理やりに世界につなぎとめ、震える声で質問を続ける。

「……けど、“あの方”ならなんとかなるって、言ってた」

 そして憂うものを見つめる視線に力を込め、はっきりと、彼に伝わるように問いかける。「憂うものが、あの方なの?」

「そうか…。
ああ、ティコが私の事をどう呼んでいるかは知らないが、確かに私なら君の運命を変える事ができる。そして、それを問うために私はここに来た」

その言葉に、純吾は動けないはずの体が打ち震えたのではないかというほどの衝撃と歓喜を覚えた。
もっと話が聞きたい。そう思い、純吾は力を振り絞って彼に近づこうとするが、「だが」という憂うものの声が押しとどめた。

「初めに言っておこう。もしこれを了承すれば、君は恐らく今までいた所には二度と帰る事ができないだろう。
それに、私が用意した道で君は間違いなく戸惑い、傷つき、そして他人と争う事となる。今ここで諦めたほうが、間違いなく君にとっては楽な道となるだろう」

――それでも、君はその道を選択する事ができるのかな?
 優しそうな様子など微塵も感じさせない、その強者としての重圧を容赦なくぶつけてきながら、憂うものは純吾へ問いかける。

 その先程までとは全く違う威圧を、純吾はまともに受けてしまった。
 彼の目を見てしまっただけで先程までとは違う、恐怖からの体の震えが起こる。「やめて」と懇願するはずの舌は動かす事ができず、喉の奥から体が干からびていくような気もちになってしまう。

 今ここで「諦める」と言えたら、一体どれほど自分は楽になれるのだろうか?

 だが、
「あ――」

「あ?」

「――ぁ、諦めたく、ない」

 口を衝いて出てきたのは、生きる事を選択するという決意。恐怖に震え、かすれて酷く聞き取りづらいものだったが、純吾は確かに生きる事を選択し、憂う者へ伝えた。

「…分からないかな? 私の言った事は脅しではない、全て本当の事だ。
君が選んだ道は、君という不確定要素を入れる事で少々の変更があるだろうが、間違いなく波乱に満ちたものになる。私はそれを“知っている“」

「……それでも、いい。ジュンゴは見てきた、壊れた名古屋を。いっぱい人が死んで、その中には、まだ生きたいって人も、いっぱいいた」

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