第3話 献身
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……女神だったらもっとすごい事もできるし、伝承どおりの力を振るえる悪魔だっているんだから」
治療を終え、自慢げに話しかけてくるリリム。
先程の光景も充分驚嘆に値するが、それよりも凄い事が出来る存在がまだいるとは、忍、ノエル、ファリンは悪魔が現実のものとして存在することを改めて思い知る。
「力は、壊すだけじゃない………」
一方すずかだけは、その言葉に何かを感じたのか、小声で呟きながら考え込んでいる様子だったが、それを気付いたものはいなかった。
その後、リリムを除く4人が驚きのためしばし時間を忘れ茫然としていると、ベッドの方から声が聞こえてくる。それに気がついた4人は意識を引き戻し、彼へ事情を聞こうとベッドに近づいていった。
?―――それより少し、時は遡る。
鳥居純吾は、暗い世界にいた。
そこはほんの少し先も見渡せない、黒一色の世界。そんな世界にただ自分が横たわっているという感覚があるだけ。視覚も、聴覚も嗅覚もありとあらゆるものを使っても見出す事ができない、独り自分が世界から切り離されたかのような場所。
これが、死後の世界というものだろうか? 純吾は働かない頭でそう思う。
……いいや、彼はこの世界を一回体験したことがあった。
あれは、確か始めて悪魔と契約を結んだ時???
「やほほ〜、ティコりんだよ☆ ジュンゴちゃん起きてる〜?」
突然、自分を取り巻く状況に考えを巡らせていたときに声が聞こえてくる。あたりを見回してみると、いつの間にか目前に緑色の自分の携帯電話が置かれ、画面の中から白黒のバニーガールのような少女が話しかけてきた。
自分たちが生き残るために使っていた【悪魔召喚プログラム】を配信してきたサイトの案内役、ティコと名乗る少女だ。
「ん……、ジュンゴ、起きてるよ」
「おーけーおーけー。ねぇねぇ、ところでジュンゴちゃん。ジュンゴちゃん、また死にかけてるみたいだね☆」
軽い口調で自分の現状を言うティコに、純吾は思わず顔をしかめてしまう。
「……何だか、ごめんなさい」
「あははっ、別に怒ってなんかいないよ☆ それよりもジュンゴちゃん。このままじゃジュンゴちゃんまた死んじゃうよ」
そんな事言われずともだ。しかし前の時とは違い、今回は悪魔を召喚したら危機を乗り越えられるといったものではない。そんな状況をどうすればいいのか分からない。
そう思い、それをティコに伝えようとした時
「だけどさ〜。もし…、もしまた生きたいって思うなら、今回だけはなんとかなっちゃうかもしれないよ☆」
その声を聞いた時、純吾は一瞬何を言われたのか理解できなかった。痺れたように満足に動かない舌を必死に動かし、ティコに確認する。
「
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