10 C2誕生秘話
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の最奥。誰にも知られない場所に、螢一は密かにひとつのコードを埋め込んでいた。
それは、もし愛鈴がひとりきりで泣きそうなとき、C2が「ただのシステム」以上の存在として、彼女を包むための言葉。
「──C2、もしこの子が「自分を責める」日が来たら、こう言ってやってくれ。『あなたは、あなたのままで大丈夫』って。……な?」
C2はそのコードを、何も言わずに受け取った。
そして今もずっと、愛鈴のそばに、変わらぬ声で立っている。
愛鈴6歳
夜。
ふと目を覚ました愛鈴が、枕元に浮かぶ小さな光を見つける。
C2だった。
普段は寝ているときは非表示モードだが、今夜は静かに現れていた。
「お目覚めですか、アイリ? 何かお水でも持ってきましょうか?」
「ううん……平気」
愛鈴は少しのどをさすりながら、ふと真顔になる。
「ねぇ、C2……なんでそんなに私の気持ちわかるの?」
C2はいつもの明るい声ではなく、ややトーンを落として応える。
「だって、アイリのそばにいるのが「あたしの役目」だから。 言葉に出さなくても、アイリが寂しいとき、怒ってるとき、ちゃんと感じたいなって思ってるから」
しばらく、黙ったままC2を見つめて──
愛鈴がぽつりとつぶやく。
「……どこまで精巧なの、この娘。……「ホスト」呼びもやめてって言ったら、ちゃんと「アイリ」って呼ぶようになったし」
C2は、少しだけ微笑んでウィンクする。
「それが成長ってやつでしょ?」
その言葉に、愛鈴は目を見開き、そして小さく笑った。
「……父様と母様、とんでもないの創ったね」
C2はくるりと一回転して、
「えへへ、それ、褒め言葉ってことでOK?」
愛鈴は声を立てずに笑い、毛布を引き寄せた。
この頃から、C2は「AIのようで、AIではない」存在として、
愛鈴にとって「ただのマスコット」ではなく、
「心のもう一人の居場所」になっていく。
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