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セリーグ全滅
第四章

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「金曜からのペナントによ」
「勝っていかないとな」
「確かに巨人は交流戦大負けだけれど」
「落ち込んでるとな」
「巨人の優勝だけは駄目でしょ」
「巨人が優勝したら世界は暗黒に覆われるんだ」
 邪悪をその全身にまとったこのチームがそうなると、というのだ。
「そうなると思ったら」
「絶対に駄目よね」
「当たり前だろ」
 これが寿の返事だった。
「巨人だけは絶対に駄目だ」
「そう思うならね」
「気を取り直してか」
「ペナントに挑まないと」
「そうだよな」
「大体負け越したのカープと阪神だけじゃないのよ」
「セリーグ全部だな」
「だからね」 
 それ故にというのだ。
「同じだって思えば」
「順位あまり変わってないしな」
「ゲーム差もね」
「それならか」
「このままね」
 交流戦前の様にというのだ。
「やっていけばいいのよ」
「そうなるか」
「そうよ、過ぎたことを悔やんで何になるのよ」
「何にもならないよ」
 兄は即座に答えた。
「それよりも前を向いて」
「やっていかないとね」
「阪神これまで何があったと思ってるんだ」
「九十年の間にね」
「数えきれない位酷い負けがあったんだよ」
「肝心な時に信じられない負けしてきたわね」
「エラーしたり打たれたり」
 千佳に怒った顔で話した。
「それも巨人相手とか」
「一杯あったわね」
「そうなんだぞ」
 その九十年の歴史の中でというのだ。
「阪神の歴史は決して栄光の歴史じゃないんだ」
「といっても恥とか言わないわよね」
「ネタの歴史なんだ」
 こう返した。
「有り得ないことばかり起こって」
「話題を作る」
「そんなのばかりのな」
「九十年の歴史ね」
「最終戦巨人に負けたりな」 
 勝った方が優勝だった、だが惨敗し甲子園で暴動が起こった。
「昭和四十八年な」
「お父さんもお母さんも生まれてない頃ね」
「それで八木さんのホームランがツーベースになって」
 エンタイトルとなったのだ。
「それでだよ」
「そこから優勝出来なかったのよね」
「一九九二年な」
 その時はというのだ。
「優勝しそうだったのに」
「凄いわね、それも」
「三十三対四もあった」 
 二〇〇五年の日本シリーズである。
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