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セリーグ全滅
第一章

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                セリーグ全滅
 根室寿は甲子園球場から帰ってだ、妹の千佳に言った。
「こういう時どういう顔をすればいいんだ」
「笑えばいいって言ったら怒るでしょ」
「もう怒ってるよ」
 これが兄の返事だった。
「全く、勝てば五割だったのに」
「交流戦ね」
「阪神今首位だよ」 
 寿はこのことも言った。
「セリーグで」
「カープが優勝するまでその席温めておいてね」
「渡すものか、兎に角負け越しだよ」 
 憮然として言うのだった。
「カードも」
「ソフトバンクに負けたわね」
「それでソフトバンク優勝だよ」
 そうなったことも話した。
「全く、今年の交流戦はどうなんだか」
「それ私に言う?」
 千佳はここで憮然として返した。
「カープも負け越してるのよ」
「そういえばそうか」
「セリーグは全部ね」
 その六球団がというのだ。
「負け越してるじゃない」
「強かったな、パリーグ」
「本当にね」
「今年こそ交流戦優勝って思ったんだ」
 寿は真剣な顔で言った。
「最初は」
「日本ハムとオリックスに勝って」
「特にオリックスは三タテして」
 スイープを達成してというのだ。
「それでだったよ」
「優勝もって思ったわね」
「それが」 
 そう思ったのがというのだ。
「そこから急転直下で」
「七連敗したわね」
「西武に三タテ受けて」 
 そうしてというのだ。
「楽天にで」
「ロッテにも負けて」
「あっという間に借金生活だったよ」
「交流戦はね」
「正直まずいと思ったよ」 
 寿は自分の想いをありのまま語った。
「首位陥落だって」
「それがセリーグ全滅で」
「パリーグ全部勝ち越して」
「ちょっとないわよね」
 千佳は冷めた目で述べた。
「セリーグ全部負けるって」
「六球団な」
「それで阪神七連敗でも」
「順位が変わるどころか」
 そうはならずというのだ。
「ゲーム差もだよ」
「変わらなかったわね」
「ああ、よかったよ」 
 妹に冷蔵庫からカルピスを出して氷を入れたコップの中で割りつつ言う、見れば妹は既にカルピスを飲んでいる。
「そのことは」
「本当に皆負けたからね」
「今年はな」
「それでカープもね」
「あまり変わってないな」
「ええ、そうよ」
 兄にカルピスを飲みつつ答えた。
「あまりというか殆どね」
「そうだな」
「正直周りが全部負けてたら」
 セリーグの全球団がというのだ。
「それならね」
「問題ないな」
「ええ、けれどね」 
 千佳は憮然とした顔で言った。
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