第173話
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て、もう学園都市の『外』の技術でもギリギリ再現できるレベルの劣化品でしかないじゃんよ。」
愛穂は少し離れた檀上のすぐ近くで話し合いをしている背広の男達を見ながら。
「その上、ライセンス売買と言いながら兵器のコアとなる部分の製造は、各国にある学園都市協力派の機関が完全に掌握している。
製造数や配備状況を逐一把握できるって寸法じゃんか。
ったく、学園都市はどうしてそこまでして金を集めてるんだか。」
「豊富な資金があればおバカ兵器を量産できるものね。
あの企画部長、今度は巨大人型ロボを宇宙へ飛ばそうとしているらしいわよ。
きっとパイロット候補は一〇代の少年ね。」
「やる気ないじゃんね?」
「あらゆる意味でね。」
そんな会話をしながら、愛穂は再度エンジニアの女性の膝の上にあるパソコンに眼を向ける。
ニュースは変わらず、暴動やら抗議運動などの読み上げている。
それらを見て今日の朝を思い出す。
このニュースを見た時、麻生は珍しく真剣な表情でテレビを見ていた。
普段はテレビなどに一切関心を持たない麻生がだ。
愛穂は・・・いや、愛穂だけではない。
桔梗や制理も薄々気がついている。
この一連の事件に麻生が関わっている事を。
あの〇九三〇事件で、化け物に追われそれを操る男と麻生は戦った。
あの時から麻生には自分達が想像できない何かに巻き込まれているのだと初めて知り、今まで全く気がつけない事に悔しさと怒りを感じた。
先日も麻生は突然早退して、いつの間にか部屋のベットで寝ていた。
起きた麻生は驚いた顔をしていたが、訳を聞いても話してはくれなかった。
(ウチが戻ったら話すって約束したじゃんかよ。)
病室で約束したのに、麻生は話そうとしない。
自分は警備員で教師だ。
だからこそ、麻生が危険な事に巻き込まれているのなら、助けないといけない。
何より。
好きな男が何かと戦っているのに、自分だけ安穏と生活しているのがたまらなく嫌だ。
せめて事情だけでも知りたいと愛穂は思っている。
これは愛穂だけではなく、他の二人もそうだろう。
(今夜にでも聞き出してやるじゃん。)
そう決意して、駆動鎧を装着していく。
そろそろ休憩を終わりにしないと、上から文句を言われる。
蒸し暑い駆動鎧にうんざりしながらも、愛穂はデモンストレーションの続きを再開する。
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