九十八 光あるほうへ
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崩壊した橋。
戦闘の荒々しさを物語っている其処の中央は大木が食い破っており、もはや建築物として成り立っていない。
青々と生い茂る大木の枝に止まった鴉が眼下の光景を見下ろしている。
その視線の先では、木遁の暴走で今し方片腕を失った男の末路が手に取るようにわかった。
「綱手…姫」
ペイン襲撃に乗じて五代目火影を殺すようサイとサクラに命じた。
自らが火影の座を手に入れる為に。
それを命じた本人は暫し茫然自失していた。
「な、ぜ…」
狼狽するダンゾウとは裏腹に、綱手は平然と腰に手を当てて口角を吊り上げる。
ダンゾウが切り離した木遁の大木が影を落とし、その影の中で立ち竦むダンゾウとは対照的に光の下で彼女は視線を微かにサクラとサイへ向けた。
「おまえの部下のおかげだよ」
ペイン襲撃にて壊滅した木ノ葉の里。
ペイン天道によって崩壊させられた里で怪我人を治療する為に駆けずり回っていた綱手は忍びの闇の策略に陥れられたのだ。
サイの墨の蛇で拘束され、サクラに不意をつかれ、意識を失う。
ペイン騒動にかこつけて部下に五代目火影を亡き者にするよう企んでいたダンゾウの計略にまんまと引っかかってしまった自身を、綱手は遠ざかる意識の片隅で歯噛みした。
あの念入りなダンゾウのことだ。
意識を失ってしまったが最後、自分の命は無いだろう。
そう覚悟していたが、次に意識が戻った時、綱手は面がたくさんあるお堂で寝かされていた。
木ノ葉の里のはずれになるうずまき一族の納面堂。
そこへ秘かにサイとサクラが綱手を運び入れたのだ。
ナルの深層世界で四代目火影と対話した後に、暫しナルトが休んでいた場所。
護衛であった白と再不斬へ御堂を誰かに譲るかのような発言をして、ナルトは彼らを伴ってその場を去った。
あえてサクラとサイに御堂を明け渡したのである。五代目火影の暫しの隠れ家として。
そんなナルトの配慮など露知らず、なんとか綱手を秘かに安全な場所へ運び入れたサイとサクラは、彼女が目覚めるとすぐさま、ダンゾウの思惑を暴露した。
ふたりは、普段写輪眼を隠しているダンゾウをサクラの幻術とサイの【超獣戯画】で上手く誤魔化し、五代目火影は死んだと思わせたのだ。
現状を把握した綱手は、大蛇丸ではなく、現在は暁に潜入しているサスケへと連絡をとった。
元々サスケには綱手の口寄せ動物であるカツユを連絡役として付けている。
そこでサスケとサイ・サクラから五代目火影は一計を案じた。
即ち、ダンゾウの悪事を暴いてやろうと。
よってサイとサクラはダンゾウの腹心の部下であるフーとトルネと対立した。
ダンゾウとサスケの戦闘の邪魔をしないように足止めしていたのだ。もっともフーは途中で、秘かに状況を窺っている綱手に気づいて
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