九十八 光あるほうへ
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戦意を喪失してしまったが。
そしてサスケの役割はあえてダンゾウが行った今までの悪事を口にし、本人に肯定させ、更には劣勢に見せかけることで自ら自白するように唆したのだ。
「なにか申し開きはあるかい?」
綱手の問いに、五代目火影の目前で愚かな行為を仕出かしてしまったと悟ったダンゾウの眉間が更に深くなる。
サスケが回りくどく、何度も【根】の矛盾点を指摘してきた理由はこれか、と今更になって気づいた忍びの闇は、屈辱に唇を噛み締めた。
火影の目の前で自らの悪事を暴露してしまったも同然の行い。もはや取り繕うことも不可能。
これだけ証人が残っている現状を打破するには、今この場にいる全員を皆殺しにするか、或いは…。
しかしながら五代目火影を始めとした忍び達と、今や木遁が暴走し且つチャクラが枯渇寸前の己がぶつかった先の末路など火を見るよりも明らか。
ならばダンゾウには、他に選択の余地はなかった。
着込んでいた着物の胸元を大きく開ける。
その身体に這う模様を眼にして、綱手がハッ、と息を呑んだ。
(あれは…【裏四象封印術】!)
ダンゾウの身体に纏わりつく呪印を一目見てすぐさま判断した綱手は「総員退避…!」とサクラ達に呼びかける。
綱手の一声で危険を察知したサイが【超獣戯画】で墨の鳥を描き、サスケ以外の面々を乗せて空中へ避難した。
墨の鳥から身を乗り出した綱手が、ダンゾウにもっとも近い場所にいるサスケへ叫ぶ。
「ダンゾウから離れろ…っ!サスケ…!!」
「……ッ、」
自分の死体に対象を引き摺り込み、封印する術──【裏四象封印術】。
今この場にいる全員の皆殺しか、或いは、自決か。
後者を選ぶも、あの忍びの闇がただ死ぬはずもない。
周囲の者全てを道連れにしてやろうとしたダンゾウの視界に、不意に漆黒の羽根が映った。
(……?)
突如、頭上から降ってくる鴉の羽根。
また幻術か、と先ほどサスケに視せられたイタチの幻覚に身構えたダンゾウは、思わぬ人物を目の当たりにして眼を見開いた。
「忍びの闇ともあろうものが…往生際が悪いんじゃないかい?」
自爆も同然の術。【裏四象封印術】発動直前に、鴉の羽根と共に己の懐へ飛び込んできた存在。
見覚えのある姿にダンゾウが口を開くよりも前に、サイが驚愕の声をあげた。
「シン兄さん…!!」
かつてサイと殺し合いをさせたはずの、サイが兄同然に慕っていた人物。
そしてサイを手駒として素直に言う事を聞かせる為に、シンによく似た人物である満月を、ダンゾウは利用していた。
もっともシンに見せかけ幽閉していた満月は、実の弟である水月が再不斬の助けを借りて救っているので、言
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