森に煌く刃
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が次第に人のものに戻っていく。
「けれどもうモグラの特訓は出来ない。バダン来たから」
「ああ、それはわかってるよ」
モグラ獣人はそれに対し真摯な声で言った。
「カマキロイドか。これはまた厄介な奴みたいだなあ」
モグラ獣人は目の前に広がる深い木々を見ながら言った。その奥で怪人がこちらを見ながら残忍な笑みを浮かべているように感じた。
村雨と博士はようやく城南大学に入った。まずはトラックを駐車場に入れる。
「場所が空いていてよかったな」
そこは来賓用であった。博士はそこにトラックを入れるとホッとした顔で村雨に微笑んだ。
「ああ。それにしてもやけに広い場所だな」
村雨は大学の中を見回しながら言った。
「そりゃあね。我が国で一番のマンモス大学だし」
博士はニコリと笑って言った。
「この大学は大抵の学部があるよ。文学部に法学部、語学部に経済学部・・・・・・。特に理学系が充実していてね」
「そうか、理学が強いのか」
かってこの大学で本郷猛も風見志郎も学んだ。とりわけ医学や工学の分野では名が知られている大学である。
「うん、かくいう私もここにいたしね。さあ医学部のほうへ向かおうか。確か海堂君はそこにいる筈だ」
二人は歩いていく。ふと女の子の学生達と擦れ違った。
「ねえ、さっきの人格好良くない?」
「うん、身体も大きいし顔も格好いいし。まるでアクション俳優みたい」
その声は村雨の耳にも入っていた。
「・・・・・・俺の事か?」
村雨はその話を聞きながら首を傾げた。
「そうらしいな。確かに君は女の子にもてそうだ」
博士が彼のほうを見上げて微笑んで言った。
「もてる・・・・・・何だそれは」
村雨は博士に問うた。
「まあ簡単に言うと女の子に人気があるということだよ。まあ悪いことではない。むしろ喜ばしいことだろうな」
「そうか」
村雨は博士の言葉に対して静かに頷いた。だが彼にとってそれが嬉しいかというとそうではなかった。
「さて、と。もうすぐ医学部の研究室だな」
二人はとある建物に入った。
そこは大きな病院だった。どうやら研究所と兼ねているようだ。
「中々いい設備が整っているな」
村雨は病院の中を見回しながら言った。
「ああ。日本でも有数の設備と人員を誇る病院かつ研究所だからね」
博士は中を進みながら言った。二人の脇を白衣を着た医者や看護婦が通り過ぎる。
二人は受付に来た。博士がそこを覗き込んだ。
「あ、伊藤先生」
若い看護婦が彼の顔を見て思わず声をあげた。どうもこの病院でも顔を知られているらしい。
「久し振りだね、かすみちゃん。今日は海堂君に用があって来たんだ。彼はいるかい?」
「はい、ええと・・・・・・」
チラリ、と名簿を見る。
「はい、丁度今研究室にお
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