森に煌く刃
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彼は村雨から視線を外した。そしてエレベーターへ入っていく。
「そろそろ風見が来る頃だな。案内してやろう」
彼はそう言うとエレベーターのボタンを押した。そして下へ降りていく。
二人は海堂博士の研究室の前に来た。そこで村雨はポツリと言った。
「中に二人いるな」
「二人?」
一人は海堂博士だ。だがもう一人というと誰だかわからなかった。
「まあいいや。さあ行こう」
そう言うとドアをノックした。どうぞ、という声がした。
扉を開ける。そこには海堂博士がいた。
「んっ、伊藤君じゃないか」
そこには旧知の親友がいた。彼の顔を見て思わず声をあげる。
「久し振りだなあ。何処に行ってたんだい」
「それは後で・・・・・・ん!?」
ふと海堂博士の向かいに座る男が目に入った。そこにいるのも彼がよく知る男であった。
「志度君も。日本に戻って来ていたのかい?」
「ははは、ちょっと付き合いでね。しかし君が来るとはね」
志度博士も旧友の顔を見て顔をほころばせた。
「丁度お茶を飲んでいたところなんだ。君もどうだい?」
二人はそう言うと一組のティーセットと陶器のポットを出してきた。
「済まない、もう一組出してくれ」
「おやっ、連れがいるのかい?」
二人はふと顔を上げた。
「うん、彼なんだ」
伊藤博士はそう言うと村雨を部屋に入れた。
「村雨、村雨良君だ。彼の事について色々と話したい事がある」
「村雨君!?」
海堂博士はその名に反応した。
「・・・・・・・・・」
志度博士は黙っている。
村雨は二人に対して無言で頷いた。
大台ケ原においてのアマゾン達とバダンの戦いは続いていた。追い、追われる獣同士の戦いであった。
どちらかが一方的に追い追われる戦いではなかった。一方に隙があればもう一方がそこに襲い掛かる、肉食獣同士が互いに命を狙い合うような戦いであった。
「ケケーーーーーッ!」
アマゾンが木の上から下を進む戦闘員に襲い掛かる。その戦闘員は首筋に喰い付かれた。
「ケケッ!」
アマゾンはその首筋を噛み千切った。鮮血がほとぼしり出る。
「チュチューーーーーンッ!」
モグラ獣人もそれに続き木の上から戦闘員に襲い掛かる。そして左手のスコップで殴り倒す。
戦闘員達は左右に散ろうとする。だが二人の動きはそれよりも速かった。
それぞれ別方向に跳んだ。そして戦闘員達が円陣を組むより早く攻撃を仕掛ける。
戦闘員達は手に持つ鎌を振るう暇も無かった。瞬く間に全員倒されてしまった。
「今日の戦いは上手くいったな、アマゾン」
地下の広い空間でモグラ獣人はアマゾンに言った。
モグラは地下を掘り進んで生きる。そのモグラの力を持つ彼も地下で複雑に入り組んだ道と部屋から成るエリアを造りそこに潜み住んで
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