魔虫の潜む街
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を手刀で倒した。竜が住職からその文を受け取り慌てて懐に入れる。
結城に打たれた影が倒れる。それはやはりバダンの戦闘員であった。
「奴等、ここまで・・・・・・」
結城が舌打ちする。
「どうやら我々をつけてきたようですね。他にもまだいますよ」
役が言った。彼の言葉通り彼等が部屋に次々と入って来た。
「この地図は渡さん!」
二人は住職を護る様に戦闘員達を次々と倒していく。そして廊下へ出て階段を昇っていく。
仏殿にも戦闘員達が待ち構えていた。そして彼等に襲い掛かる。
二人はその戦闘員達に立ち向かう。一人また一人と倒してく。
「どうやらこの連中は国切の捜索隊のようですね」
結城が戦闘員の一人を蹴りで倒しながら言った。
「ええ。その証拠に指揮官であるクモロイドもいませんし。けれど油断は禁物ですよ」
竜が言った。
「ええ、それはわかってますよ」
結城が答えた。そこで意外な助っ人が現われた。
「ムンッ」
何と住職までが参戦してきた。老人とは思えぬ身のこなしで戦闘員達を拳法の技で倒していく。
「お二人だけ戦われるは不平等。わしも協力させてもらいますぞ」
「えっ、しかし・・・・・・」
住職の意外な行動と思いもよらぬその強さに二人は呆気に取られている。
「何、拳法は達磨法師の時代より禅の修練の一つ。それに悪しき心の者を調伏するのもまた御仏の教えです」
住職はそう言うと戦闘員達を次々と倒していく。彼の活躍もあり戦闘員達は容易に退けられた。
「お強いですね・・・・・・」
横たわる戦闘員達を前に二人は住職に言った。
「いえ、これしきの事。歳のせいか動きが鈍っておりました」
住職は謙遜して言う。だがその強さは本物であった。
「さてお二方」
住職は二人に向き直って言う。
「国切の事、しかと頼みましたぞ」
「はい」
二人は答えた。そして住職に別れを告げ大乗寺を後にした。
金沢城は天正一一年(一五八三年)に前田利家が金沢に入ってから本格的な築城が始まった。キリシタン大名として知られる高山右近が招かれ彼の築城技術が使われたという。城の規模が拡大されていったのもこの頃からであった。だが当時は重臣達の屋敷が城内にあり決して広い城ではなかった。
戦国後期から安土桃山時代の城の特徴として天守閣の存在があるがこの城にもそれはあった。しかし今は無い。
それは何故か。それはこの金沢の地につきまとう災厄のせいである。
前述だがこの金沢は火事が非常に多い街であった。幾度も町が焼け多くの人々が死んでいる。この城もその災厄からは逃れられなかったのだ。
慶長七年(一六〇二年)の火事で天守閣が焼け落ちた。それ以後天守閣はもうけられなかった。その代わりになったのが本丸の三
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