雪原の花
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はい」
その時だった。扉をノックする。音が聞こえた。
「どうぞ」
二人は身構えながら言った。バダンの急襲を警戒していた。
入ってきたのはホテルのボーイだった。にこやかな笑顔を見せている。
「何ですか?」
どうやら危険な相手ではないらしい。二人は警戒を解きボーイに近付いた。
「郵便です」
「郵便!?」
ボーイは一通の手紙を差し出した。風見はそれを手に取り封を切る。それは招待状だった。
「招待状・・・・・・」
「あのホテルに!?」
それはあのアトラクションが側にあるホテルへの招待状だった。二人もそのホテルの名は知っていた。
「あの、もうよろしいでしょうか」
ボーイが二人に声をかけた。二人はうっかりと忘れていた。
「あ、どうぞ」
風見は彼を帰らせた。扉が静かに閉められた。
「バイキングへの招待か」
「ええ。それに催し物があるとか」
佐久間が招待状を見ながら言った。
「フラメンコか・・・・・・」
風見は左手を口に当てて呟いた。眉間に皺が寄る。
「俺は好きですけれどね、フラメンコ。それにしても何で俺達に招待状なんか」
「誘き出そうとしているのかもな」
風見は佐久間へ顔を向けて言った。
「バダンが・・・・・・・・・」
佐久間もその顔を険しくした。
「その可能性は極めて高い。だが俺はこの誘いに乗るつもりだ」
「何故ですか?」
「虎穴に入らずんば虎児を得ず、だ。折角連中が俺達の前に姿を出してくれるんだ。行かない手は無いだろう」
「成程、そうですね」
佐久間は風見の言葉に頷いた。同時に風見らしい、と思った。
「早速行くか。バダンの奴等がてぐすねひいて待っているぞ」
「ええ。行って奴等の鼻っ柱へし折ってやりましょう」
二人はホテルを後にした。そしてマシンでそのホテルへ向かった。
ホテルに入る。ボーイが二人を丁寧に出迎えた。
「風見志郎様と佐久間健様ですね」
「はい」
二人は素直に答えた。このボーイに不自然なところは無い。
「こちらです」
上の広いホールに案内される。バイキングが行なわれている。
「どうぞ。心ゆくまでお楽しみ下さい」
ボーイはそう言ってその場を後にした。二人は用意されていた席に着く。
料理は美味かった。パスタも中華料理もかなり味付けが良かった。
二人は暫く料理を堪能していた。すると催し物が始まるとのアナウンスが入った。
「おっ、いよいよか」
楽器を持った一団が入って来た。その中に赤いドレスで着飾った女がいる。
「あれがダンサーだな」
風見はその女を見た。整っているが妙な気を感じた。
女は音楽に乗り踊り始める。脚を激しく踏み鳴らして踊る。
「・・・・・・・・・」
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