雪原の花
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食べ物ばかりじゃないか。あそこは景色もいいぞ」
「あれっ、そうでしたっけ」
「百万ドルの夜景というだろ。俺はあれが楽しみだったんだ」
「それでどうでした?」
「ああ、最高だった。香港やニューヨークの夜景も見てきたが噂だけのことはあったよ」
風見は目を輝かせながら言った。
「それは良かったですね。じゃあ今度俺も見に行こうかな」
「今度は食うのは程々にしろよ」
「解かってますよ」
二人はそう言いながら寿司屋通りを後にした。
小樽公園に来た。市民達の憩いの場ともなっている緑豊かな公園である。
だが生憎の銀世界だ。二人はその中を歩いていた。
「これはこれでいいですね」
佐久間が言った。
「ああ。確かにな」
風見も同意した。雪を踏みしめながら公園の中を進んでいく。
「しかしこんな所に本当にバダンがいるんですかね」
佐久間は首を傾げながら呟くように言った。
「北海道なら札幌とか函館とかあるでしょうに。テロをやるにしても基地を作るにしても」
「そうだな。この街は確かに大きい街だが」
風見は佐久間の言葉に目を光らせた。
「札幌でテロを行なったならば相当の被害が出る。函館を押さえれば地理的にかなり有利になる。シンガポールや沖縄に基地を作ろうとした連中だ。奴等がこの北海道に基地を作るならば函館が一番だろう」
「けれど何で小樽にいるんですかね」
「それだ。テロでも基地建設でもないとしたら・・・・・・」
風見の顔が険しくなった。
「奴等は何かおぞましい事を考えている。俺にはそう思えてならない」
「そのおぞましい事って・・・・・・」
風見の顔が険しくなったのを見て佐久間も表情を暗くさせた。
「そこまではまだ解からない。だがここは慎重に捜査していこう」
「はい」
二人は公園の中を歩いていく。足跡が雪の上に残った。
小樽にはホテルも多い。中でも小樽の少し外れにあるとあるホテルは有名である。
そのすぐ側にとある俳優のアトラクションがあることでも有名だがその中も豪華である。欧州の一流ホテルを思わせる趣である。側のアトラクションや設備、サービス等で人気の高いホテルである。
そのホテルのスゥイートルームの扉を誰かがノックした。中からどうぞ、という声がした。
声に従い中に入る。豪奢な部屋の中に一人の女がいた。
黒い髪に瞳を持つ美しい女である。その肌は少し黒く赤いドレスを身に纏っている。小柄であるが均整の取れた身体をしている。見たところラテン系のようだ。
「モンセラート=バレアレス様、お伝えしたい事があります」
見たところホテルのボーイのようだ。しかしそれにしては目付きが悪く気配も剣呑である。
「バラロイドでいいわ。どうせこの部屋には我々以
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