雪原の花
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・・・・・・・・」
村雨は少し考えた。そして顔を上へ向けた。
「もう少し見ていたい」
「そうか、じゃあ付き合おう。君が満足するまで見てくれ」
「有り難う」
村雨はそれから空を見上げ続けた。夕刻になり空が赤くなり夜の帳が降りても空を見上げ続けた。
風見志郎は小樽の街中にいた。雪の積もった道を歩いている。
この小樽は北海道の中でも有名な都市である。札幌、函館等と並ぶ北海道有数の都市である。
北海道の開拓よりこの街の歴史は始まった。運河が通された西洋風の独特の街並で知られている。
特に銀行が多いので有名である。色内町を中心に重厚な石造りの銀行が立ち並んでおり『北のウォール街』とすら呼ばれている。
その西洋風の街中を彼は歩いていた。深い雪を踏みしめ前へ進んでいく。
「さてと、この前だったな」
日本銀行小樽支店の前に来た。煉瓦の美しい建物である。今は雪化粧をしておりその美しさが一層際立っている。今は銀行としての役目を終え博物館となっている。小ドームがトレードマークとなっている。
風見はその正門の前に立った。誰かを待っているようだった。程なくしてその人物がやって来た。
「お待たせしました、先輩」
やって来たのは佐久間健だった。雪に注意しながらこちらに来る。
「いや、俺も今来たばかりだ。この雪に足を取られてな」
靴に付いた雪を指差しながら苦笑して言った。
「そうですか、けれど先輩はモスクワにいたこともあるんですよね」
「ああ。まああそこは特別だ」
風見は笑って言った。
「息を吹いたら凍るようなところだぞ。ここは流石にそこまではいかないだろう」
「ええ」
「まあ話はいい。立ったままじゃ寒い。とりあえず何か食べに行こう。何がいい?」
「小樽といえば寿司でしょう。早速行きましょうよ」
二人はタクシーを呼びそれに乗り込んだ。そして商店街へ向かった。
港町小樽はニシン漁で有名であるが寿司が美味いことでも知られている。何しろ寿司屋通りまである位なのだから。
二人はその中の一店に入った。そして寿司を心ゆくまで堪能した。
「いやあ、美味かったですね」
佐久間は店を出て風見に言った。実に満足気な笑みを浮かべている。
「ああ。観光地だからあまり期待はしていなかったんだがな。ネタも新鮮で良かった」
「函館もいいですけれどね。ここの寿司も最高ですよね」
「んっ、御前函館にも行った事があるのか?」
風見はその言葉にふと顔を向けた。
「ええ。前にも北海道sで仕事をした事がありますんで。先輩と会う前の話ですけれどね」
「そうか。実は俺もここへ来る時に通った」
風見は笑いながら言った。
「蟹がいいですよね。イクラもたっぷりと食えるし」
「おいおい、
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