第八十八部第五章 隙を窺い合いその十一
[8]前話 [2]次話
「迂闊に攻めた方が敗れる」
「まさにその通りですね」
「猛獣同士が闘うとです」
「まことにそれで決まります」
「失態を犯した方が敗れます」
「それが今だ」
まさに自分達だというのだ。
「これまでの二度の会戦では双方大きな損害を出した」
「それは全くの互角だったからであり」
「当然の結果ですね」
「そこでも若し一方が失態を犯していれば」
「それで、ですね」
「戦争は決まっていた」
その時点でというのだ。
「だからな」
「それ故に」
「今はですね」
「間違ってもな」
まさにというのだ。
「敵をだ」
「伺うことですね」
「その隙を」
「そしてですね」
「隙を見付ければですね」
「攻める、そして勝つ」
そうするというのだ。
「アッディーン大統領にな、しかし我々もだ」
「ミスを犯せば」
「隙を作ってしまえば」
「そこで、ですね」
「敗れてしまいますね」
「彼も同じだ」
アッディーンもというのだ。
「隙をだ」
「伺っていますね」
「我々のそれを」
「だからこそですね」
「我々も隙を作れないですね」
「それで敗れるからな」
ティムールがというのだ。
「そうなるからな」
「それ故に」
「今は我々も隙を作れない」
「決して」
「そういうことですね」
「そこはわかっておくことだ」
絶対にというのだ。
「勝利を収めたいならな」
「ですね、だからこそ」
「我々としては」
「何としてもですね」
「隙を作らないことですね」
「戦争は完全に膠着している時はそうだ」
即ち今の様にというのだ。
「下手に動くかだ」
「隙を作る」
「そうした方がですね」
「終わる、ヒトラーは下手に動いて敗れた」
ドイツの独裁者であった彼はというのだ、戦争においては何かと現場に介入して混乱させたことで知られている。
「クルスクでな」
「あの戦いですか」
アブーが鋭い目で応えた。
「東部戦線の分け目となった」
「あの時ヒトラーは戦線の突起に気付いた」
それがクルスクだったのだ。
[8]前話 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]
しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2025 肥前のポチ