暁 〜小説投稿サイト〜
仮面ライダーZX 〜十人の光の戦士達〜
火吹き竜の島
[8/18]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
る。ライダー達もそれで皆苦労してきたからな」
 「そうか、ライダー達は怒りに心を捉われていたのか」
 村雨は考えるように言った。博士はその言葉に頷いた。
 「そうだな。彼等の中にはそうだった者も少なくはない」
 博士は村雨の目を見ながら言った。そう言いながら思った。何れ彼も怒りに包まれるのではないか、と。
 それは深刻な危惧だった。彼が自分の姉の死の真相を知った時どうなるか、それが恐ろしかった。
 だがそれも時が来たら彼に話すつもりである。今はその時でないだけだ。
 「だがそれはかっての話だ。今の彼等は違う」
 「違う・・・・・・。それでは今はどうなのだ」
 村雨は尋ねた。
 「今も怒りを持っている。だがそれよりももっと大きなものを常に心に持っている」
 「それは何だ?」
 「それは『愛』だ」 
 博士は自身に満ちた声で言った。
 「愛・・・・・・」
 村雨にとって初めて聞く言葉だった。彼はそれが何かよく解からなかった。
 「何だそれは・・・・・・・・・」
 彼は博士に尋ねた。博士はそれに対し難しい顔をした。
 「難しい言葉だ。一言では言えない。だが凄く簡単に言うと・・・・・・そうだなあ」
 博士は思案しながら言葉を出した。
 「人を思いやる気持ち、人を大切にする気持ちかな」
 「人を思いやり、大切にする気持ちか」
 村雨はその言葉を繰り返した。
 「まあ他にも色んな意味を持っているけれどね。だがこれだけは憶えていて欲しい。愛がなければ人ではないんだ」
 博士は村雨の心に直接語りかけるように言った。
 それはまだ村雨の心を動かすには至らなかった。だが彼の心に強く残った。
 「愛がなければ人ではない・・・・・・・・・」
 村雨は呟いた。
 「そうだ、人は愛を知るから人である。例えその身がどんなものであろうともな」
 「身体がどんなものであっても・・・・・・。それでは俺も人でいられるのだな」
 「勿論だ。愛を知っているならばな」
 博士は言葉を選んで言った。彼の機械の身体と感情を奪われた心を察して。
 「・・・・・・そうなのか。俺も愛を心の中に持つ事が出来たら人になれるのか。今の俺は人間ではないのか」
 「そうは言っていない。君は既に人間だ。たとえ機械の身体でもな」
 「・・・・・・・・・」
 博士の言葉の意味が理解出来なかった。彼は沈黙した。
 「だが愛を知った時本当の意味での人になれる。そして悪に打ち勝てるのだ」
 「悪に打ち勝つ・・・・・・。愛とはそんなに強いものなのか」
 「ああ、この世で最も強く、素晴らしいものだ」
 博士は言い切った。村雨は彼の眼を見た。曇りの無い眼だった。
 「そうか。そうなら是非知りたい。そして本当の意味での人になりたい。・・・・・・博士、それを教えて
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2025 肥前のポチ