火吹き竜の島
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だが彼等もその暴走族と大して変わりは無い。
「おい」
そこへ村雨が来た。彼等の席の前で立つ。
「ン?何だこのパンチの兄ちゃんは」
「一体何の用だ?」
レーサー達は彼の声に対し顔を上げた。
「静かにしろ」
村雨は低い、抑揚の無い声で彼等に言った。表情も無い。
それに対してテーブルにいる者達の反応は彼のそれとは正反対であった。
「ああん、堅苦しい事言うなよ兄さん」
「そうだよ、どうせあんたも店の人じゃないんだろう、何でそんな事言うんだよ」
「他の人の迷惑になる」
村雨は博士が言った言葉を口に出した。
「他人!?他の奴の事なんか知るかよ」
「そうそう、どうせ他の奴等も好きにやってんだからよお。大体あんた一体何の権利があって俺たちに説教垂れんだよ。うぜえからどっか行けよ」
彼等は一向に悪びれず言った。それに対して村雨は心の中にある感情を感じた。
それはさっき感じた感情だった。それを感じた村雨はテーブルの上に置かれている一本のコーラの瓶を掴んだ。
彼はそれを手に取ると軽く握った。だがそれだけでその瓶は粉々に砕けてしまった。その破片がきらきらと塵になってその拳の中から砂粒の様に落ちていく。
「なっ・・・・・・」
それを見たレーサー達は顔を青くした。そしてその凍りついた顔のまま村雨を見上げた。
「もう一度言う。他の人の迷惑になる」
相変わらず表情は無い。それが彼等を一層震え上がらせた。
「そ、そうですね」
一人が慌てふためいて言った。
「き、気をつけますです」
他の者も言った。そして姿勢を正しテーブルの上を綺麗にした。
そしてあたふたと店を出て行く。そんな彼等を今まで嫌な顔をして見ていた他の客が笑いながら見ている。
「これでいいか、博士」
村雨は博士の方に戻って尋ねた。博士は彼に対して笑顔で言った。
「ああ、見事だ」
「しかし俺はあの連中を見て何か思った。この感情は一体何なのだ」
「・・・・・・それは『怒り』というものだよ」
「怒り!?」
村雨は博士に尋ねた。
「そうだ。許し難いものを何とかしたいという激しい気持ちだ。それはライダーの戦う力の源の一つでもあるんだ」
「ライダーの戦う源の一つ・・・・・・」
「そうだ。ライダー達は悪に対する怒りを常に持っている。だからこそ彼等は戦うんだ」
「そうか、そうだったのか」
「だがそれだけが彼等の力の源じゃない」
博士はその表情をさらに真摯なものにして彼に言った。
「怒りは時として人を狂わせる。それを制御する心も必要なんだ」
「怒りを制御する心・・・・・・」
村雨はそれをどうやってするのかまだ解かってはいなかった。だが口に出して呟いた。
「それはおいおいわかってく
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