火吹き竜の島
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くても他人に迷惑をかけてはいけない。それが解からない奴は愚か者だよ」
「そうか」
村雨は博士の言葉に頷いた。
「まあそのうちわかるよ。すぐにでもね。ところでお腹が空いたね。そろそろお昼にしようか」
「ああ」
村雨はその言葉に素っ気無く答えた。
パーキングエリアに着いた。二人は雨を避け走って店の中に入った。
「さてと、何処に座ろうかな」
レストランに入り席を探す。そこに先程の街道レーサー達がいた。
相変わらず傍若無人である。他の客の迷惑も考えず騒いでいる。
「あの連中もいるのか。全く少しは他人の迷惑も考えたらどうだ」
博士はそう言って顔を顰めた。
「さっきの連中か」
見れば大きなテーブルを占領し大声で喋っている。テーブルは一面に並べられた料理のこぼしたもので汚れ椅子に土足で座っている。しかもテーブルに足を投げ出している者までいる。
「いい加減頭にきたな。ちょっと注意するか」
博士が眉を顰めそのテーブルへ行こうとする。村雨はそんな博士を見て心の中で何かを思った。
「博士」
村雨は彼等の方へ行こうとする博士に声をかけた。
「ん?どうした、村雨君」
博士はその声に反応して顔を彼の方へ向けた。
「ここは俺に行かせてくれ」
村雨はいつもと変わらぬ感情に乏しい声で言った。
「えっ、君が行くのかい?」
博士は意外そうな顔をした。
「ああ、行きたい」
博士は少し考えたが彼の意志を尊重しその頼みを受け入れた。
「よし、じゃあ君に任せるよ。あの馬鹿者共を大人しくさせてくれ」
「わかった」
村雨は小さく頷き彼等のいるテーブルに進んでいく。
「あ、くれぐれと手柔らかにな。彼等は生身の人間なんだし」
「ああ」
村雨は博士の方を振り向かず言った。そして彼等のテーブルへ向かう。
「で、今日は何処でレースするよ」
その傍若無人なレーサー達は相変わらず騒いでいる。その中の一人が肘をつきスパゲティをフォークに絡めながら他のメンバーに尋ねている。
「そうだなあ、あそこの山道なんかいいんじゃねえの」
別のメンバーがテーブルに足を投げ出しながらコーラを飲みつつ言う。
「おっ、いいねえあそこはカーブも凄いし」
青いレース服を着た者がそれに賛成する。
「おお、あそこならスリルもあるしな。族の奴等も来ないし」
髪を黄色に染めた男が笑いながら言った。彼等街道レーサーと暴走族は対立している事が多い。
「まあ族の奴等が来ても怖かねえけどな」
最初に何処でレースをするか聞いた男がパスタを噛みながら言う。口の中のものが見えるのも意に介していない。
「まあな。族が怖くて街道レーサーがやってられかってんだ」
そうそう」
彼等は馬鹿騒ぎを続ける。
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