火吹き竜の島
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しながら言った。
「あの森の方で黒い影が動いているのが見えたそうよ。赤い仮面を着けた。それを見た人はキジムナーじゃないかって言っていたけれどね」
キジムナーとは沖縄に伝わる妖怪の一つである。ガジュマロの木に住み魚の目を好んで食う。
「それは多分戦闘員だな。ひょっとするとここに基地を作っているのか?」
「それは無いんじゃない?いくら何でも目立つわよ。ここは観光客も多いし」
「だよなあ。だとすればこんなところで一体何を・・・・・・」
滝は右手を口に当てて思案した。
「今は何処かに基地を置いているけれどいずれこの島全体を基地にするつもりなんじゃないかしら。だから今は島全体を色々と調べているとか」
「そうか、だとしたら島全体で奴等の姿が見られているのも納得がいく」
滝はルリ子の言葉に頷いた。
「しかしこのい石垣島全体を基地にするつもりか・・・・・・。奴等め、派手な事を考えるな」
「沖縄は結構いい場所にあるしね。ここに基地を作ればアジア太平洋地域に大きな影響を与えられるから」
沖縄は古来貿易で栄えた。それはこの地の地政学によるところが大きい。
「だな。奴等の考えそうな事だ。シンガポールでもそうだったしな」
「そうね。バダンはどうも要地を押さえたがるから」
「それが他の組織とは違うな。今までの奴等だとテロばかりするところだが」
二艘の小舟の横を通り過ぎる。その右には数本の木が立っていた。
突如としてその木が変化した。戦闘員達が現われた。
「ムッ!?」
木だけではなかった。小舟の中からも出て来た。
「糞っ、まさか待ち伏せしていたとはっ!」
彼等は滝とルリ子を取り囲んだ。その手には鉄の棒を持っている。
「ギィッ」
戦闘員達が棒を振り下ろす。滝はその手を蹴り飛ばした。
「やらせるかっ!」
ルリ子も戦闘員の一人を手刀で倒した。そして二人は倒した戦闘員から棒を奪い取った。
そしてその棒を振るい戦闘員達を倒していく。だが彼等は仲間が数人倒されると囲むだけで攻撃を止めた。
「どうした、もう怖気づいたか?」
滝は彼等に言った。そして囲みを突破する隙を窺っている。
「それは違う。貴様等の始末はこの俺がつけてやるだけだ」
一人の男が出て来た。縮れた黒髪を持つあの男だ。
「御前は・・・・・・バダンの手の者か」
滝はその姿を見てすぐに直感した。男はそれにはすぐ答えず彼等の前に来た。
「そうだと言ったら?」
男は不敵な笑みを浮かべて言った。
舌が口から出た。それは先が二つに分かれた爬虫類の舌だった。
「俺はバダンのトカゲロイド。貴様等の予想通りバダンの改造人間よ」
「そうか、やはりな」
滝はその舌を見ながら言った。それが彼が人であらざる何よりの
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