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俺様勇者と武闘家日記
第3部
オリビアの岬〜海賊の家
オリビアの岬
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さん、ありがとうございました》

 そう言うとエリックさんは私たちに会釈をすると、寄り添うオリビアさんとともに天へと旅立っていった。

 空には、いつの間にか雲一つなく晴れ渡っていた。さっきまで押し戻されそうになっていた船は、追い風を受けてゆっくりと前に進んでいる。

「な、なんだったんですか、今のは……」

 ヒックスさんが唖然としながら呟いた。他の船員たちも、まるで夢でも見ていたかのようにきょとんとしている。歌声も止み、ネガティブな思考をする人もすっかりいなくなった。

「やったね、ミオちん!!」

 興奮したシーラが私に抱きついてきた。私も、無事にエリックさんがオリビアさんと一緒に天国に行けたのを見て、感無量になっていた。

「ミオちんが二人の魂を救ったんだよ!! すごいよ!!」

 私があの二人の魂を救った……? よくわからないけど、二人が幸せそうに旅立ったのなら、結果オーライだ。

「本当にすごいよ、ミオ。それにしても、よくペンダントを海に投げようと思ったね?」

「えーと……、無我夢中で何も考えてなかったんだけど、とにかくオリビアさんに気付いてほしくて、勢い余って投げちゃった」

 今考えると、なんて無謀なことをしたんだろう。もしこれでオリビアさんに私の声が届いてなかったら、オリビアさんにエリックさんの想いを伝えることが出来なかったかもしれない。

「でも結果的に二人は天に召されたんだ。ミオのやったことは正しかったんだよ」

「ありがとうルーク。……そうだったらいいな」

 その時、いつの間にかユウリが私の元へとやってきた。

「お前にしては、よくやったな」

「あ、うん、へへ……」

 突然ユウリに話しかけられたからか、動揺して上手く返事を返すことができず、せっかく褒められたのに不器用な笑みを浮かべることしか出来なかった。



 騒然とした船の上は、すっかりいつも通りの日常に戻っていた。持ち場を離れていた船員たちがヒックスさんにどやされて戻ってきたからだ。

「あれ? そう言えばナギは?」

 確か代わりに見張り台の方に行ったような気がするが、ほとんど音沙汰がない。船で最も高いマストにある見張り台を見上げると、オリビアさんたちの件に全く動じず水平線をじっと見ているナギと、隣にはラスマンさんの姿があった。

「ナギ?!! もう大丈夫だから、降りてもいいんだよー!」

 大声でナギを呼ぶと、ナギは見張り台から身を乗り出した。

「知ってるよ! お前のおかげで嵐が止んだんだろ!! それよりも皆、あそこ見てくれよ!!」

 私たちはナギが指さす方向を振り向いた。とはいえ鷹の目を使うナギとは違い、こっちは肉眼なので水平線しか見えない。

「おいバカザ
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