第百七十五話 寒くなってきてその九
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「動くことよ」
「それが鳴かせてみせよなのね」
「こたつから出られないのなら」
「出られる様にする」
「そういうことよ、他にも嫌なお客さんが来たら」
「来られない様にするのね」
「来るなとか帰れって言うよりも」
それよりもというのだ。
「相手の嫌いなもの出してもいいのよ」
「何か嫌な工夫ね」
「けれど直接言うよりもいいわよ」
家に来ない様にというのだ。
「次第に相手も来なくなって相手も傷付かないしね」
「こちらも言って嫌な思いしないし」
「あんたも嫌いな食べものしか出ないお家行きたくないでしょ」
「ええ」
一華もそれはと答えた。
「やっぱりね」
「そうする様にしてもいいのよ」
「直接言うと角が立つし」
「例えばね」
母はここでこうも言った。
「お茶漬けが嫌いな人にね」
「お茶漬け出すのね」
「そうするのよ」
「京都みたいね」
お茶漬けと聞いてだ、一華は笑って言った。
「それだと」
「そう、京都のやり方はね」
それはというと。
「実はあまりね」
「よくないのね」
「嫌味でね、恨まれるわよ」
「お茶漬けはぶぶ漬けね」
「あれ食べていってというのは」
それはというと。
「実は帰れってことだから」
「そうなのよね」
「そういう遠回しな嫌味よりね」
「相手が嫌いなものばかり出す」
「それも手よ、中にはね」
母は娘に嫌そうな顔になって話した。
「来て欲しくない人もいるでしょ」
「嫌な人とかね」
「天理教の境界にいたあの人もね」
「働かなくて大飯位で図々しくて尊大だったっていう」
「あの人天理教のお世話になる前はね」
一華達が通っている八条学園を経営している八条家の人達が信者であるその教会にというのである。
「奥さんに食べさせてもらっていて」
「その時も偉そうでよね」
「遂に愛想尽かされたでしょ」
「そのことも有名よね」
「それからお世話になるまではね」
天理教の教会にというのだ。
「ちょっと働いてね」
「一応働いてたの」
「失業保険貰える位働いて」
「ああ、止めて」
「後はそれで食べていてね」
失業保険でというのだ。
「また働くを繰り返していて」
「ずるい生き方ね」
「それで親戚のお家に行ってよ」
「ああ、お金せびっていたの」
「甘やかす親御さんとかにね」
「つくづく碌な生き方じゃないわね」
「それで親戚のお家に行く時は」
その時はというと。
「その日の二時位に今日行くって言って」
「来てたの」
「お邪魔し鱒も言わないでね」
挨拶もせずにというのだ。
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