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傷があってもいい
第一章

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                傷があってもいい
 ずっとだった、
 高校生の半藤一美は長ズボンかロングスカートだった。夏でもだ。
 体育の授業でも膝までの半ズボンであることを喜んでいた、水泳の授業は出なかった。外見は黒髪を肩の長さで切っていて大きな二重の目で細く長い眉に紅の奇麗な唇で卵型の顔で色白で背は一六二位でスタイルはかなりいい。
 だがいつもそうした服でだった。
「半ズボンとかミニスカートも似合いそうなのに」
「何でか夏もそうだし」
「もっと冒険してもいいのに」
 友人達はこう言っていた、だが。
 一美はいつもそうだった、長ズボンにロングスカートばかりだった。
 交際してもそうでありだった。
 交際相手の同じ文芸部の前橋秀治穏やかな面長な感じの顔で黒髪をショートにしている背の高い痩せた彼はだった。 
 そんな彼女に何も言わなかった、だが。
 一美の方からだ、こう言った。
「あの、付き合って一年で」
「もうそれだけになるね」
「その間ね」
 一緒に下校する中で言うのだった。
「キスもしてないけれどいいの?」
「そう言われたら」
 秀治は苦笑いで応えた。
「僕もね」
「興味あるわね」
「ないって言ったら嘘になるよ」
 これが秀治の返事だった。
「やっぱり」
「そうよね。だったら」
「だったら?」
「徐々にね」
 俯きつつ言うのだった。
「キスとかもしていかないとね」
「いかないとなんだ」
「交際してるなら」
「いや、確かに僕もそうしたこと興味あるけれど」
「私が嫌ならいいの」
「無理強い嫌いだから」
 秀治はそうした人間であるのだ。
「だからね」
「けれど私も」
 秀治を見て言うのだった。
「興味あるし」
「それじゃあ」
「徐々にね」
 こうしてキスからはじまった、そして。
 遂にという時にだ、一美は強張った顔で言った。場所はデート帰りのホテルだ。休日街で遊んで二人で遂にと話して入ったのだ。
 だがここでだ、一美は言った。
「あの、若し嫌だったら別れて」
「嫌だったら?」
「ええ、そうだったら」 
 ホテルの中で強張った顔で言うのだった。
「いいから」
「別れるって」
 秀治は戸惑って応えた。
「そんなことは」
「ないの」
「何言ってるのかな」
 こう返すのだった。
「一体」
「だって」
 ここでだ、一美は。
 今穿いているロングスカートを両手でめくり上げた、太腿の付け根の部分までそうした。するとだった。
 その付け根、左の方にだった。
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