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家庭を大事にしても
第一章

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                家庭を大事にしても
 家庭人でありたい、サラリーマンの藤瀬允康はこう思っていた、長方形の顔で小さな細い目を持ち黒髪を右で分けている。やや色黒で一七四位の背の中肉の男だ。
 それで結婚してから実際にそうしようとしたが。
「思う様にいかないな」
「ああ、仕事はおろそかに出来ないだろ」
「はい」
 先輩の平野晤郎眼鏡をかけた面長で黒髪を真ん中に分けた大きな目で一七〇位の背のかなり痩せた彼に昼に牛丼屋で一緒に牛丼を食べつつ応えた。
「これが」
「そんなものだ」
 平野はこう返した。
「世の中っていうのはな」
「家庭を大事にって思っても」
「これがな」
「仕事もおろそかに出来ないですね」
「バランスだな」
 平野は自分に言う様にして言った。
「結局は」
「家庭を大事にして」
「仕事もな、家庭ばかりで仕事をおろそかにするとな」 
 そうすると、というのだ。
「皆困るだろ」
「会社の」
「自分のやることやっていかないとな」
「会社も困ります」
「最悪会社が潰れたら」
 そうなるいと、というのだ。
「仕事がなくなってな」
「家庭どころじゃなくなります」
「そうだろ、そしてな」
 藤瀬に牛丼をさらに食べつつ話した。
「仕事ばかりで」
「家庭を顧みないと」
「怖いって聞いてるな」
「家庭崩壊ですね、最悪」
「奥さんが浮気して子供さんはぐれてな」
「そうなりますね」
「だからそれはそれでなんだ」
 家庭を大事にしなければというのだ。
「怖いんだ」
「そうですよね」
「だからバランスなんだよ」
「家庭と仕事はですね」
「ああ、どっちかだけじゃ駄目なんだ」
 絶対にというのだ。
「そこはわからないとな」
「家庭だけでも駄目で」
「仕事だけでも駄目なんだよ」
「そうですね、肝に銘じておきます」
 確かな声で答えてだった。 
 藤瀬は今は平野と共に牛丼を食べた、そして家に帰ると妻の美佐子黒髪をショートにしてやや吊り目で小柄でほっそりしたスタイルで小さな顔の彼女に聞かれた。
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