第1話
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ハッハッハッハ
1人の女の息遣いが夕暮れを背にしあたりに響く。
彼女は不二朱里。とある大学生である。
「・・・・・よし、今回はこっちに行ってみようかな?」
朱里の住まいはここから3キロほど離れた場所にある。
日課のロードワーク(早朝か夜)の真っ最中であった。
普段は別のところを走ったりしているのだが、時々このように場所を変えて走る場合もあった。
「ん〜そういやここら辺、有名人が住んでいるんだったっけ?」
あたりは時間もあって人っ子一人誰もいない。
「(・・・まぁこれぐらいで怖いって言ってちゃ弟を守れないもんね!)・・・あれ?」
とある事情から空手を始め、今や日本女性にかなう者はいないといわれている朱里でも、慢心はしない。
離れていてもヒエラルキーの頂点は弟なのだ。(実に隠れブラコンといわれているのを自覚済みである)
考え事をしながらでもペースは乱れない。
そんな朱里が前方を見ながら異変を感じ取った。何やら真剣な表情声を荒げる子供と、キョトンとした顔で首をかしげているおじさんがいた。
おじさんの表情からも不穏な空気は感じないが。
そんな様子を見てしまった朱里はそのまま素通りするほど良心はくさってはいなかったので、声をかけることにした。
「あの、なんかありました?」
「おぉすみません。うるさかったですか?」
「いえ、何か言い争いではいないけど、普通の感じでは見えなかったので」
「いやなに、この子が自分は工藤新一だと言い張るもので・・・・」
「だから本当なんだって!!」
嘘をついているみたいなニュアンス言われた男の子がむっとして言い返す。
工藤新一・・・・・名前は聞いたことがあった。確か高校生探偵として、新聞でも話題に出ていたはずだが、とはいえ
「わたしが知る、工藤新一は新聞でしか見たことないけど、高校生だったと思うのですが・・・」
「わしの知る新一も高校生じゃ、朝新一にあっとるし・・・」
その様なことを言い合っていると、ずっと黙り込んでいた男の子が顔を上げ声を上げた。
「阿笠博士52歳、自分で天才発明家というけれど作ったものはガラクタばかり!!おしりのほくろに毛が一本生えている!!」
「・・・・・・それは本当なんですか?」
朱里は少年の怒涛の言葉に呆気にとられるが、我に返りおじさんに確認する。
「確かにわしは阿笠博士じゃが、それにそのことは新一君しか知らないはず・・・・」
あやつめ・・・人の恥ずかしいことをペラペラとしゃべったんじゃあるまいな・・・・?
朱里はうすうすこの少年が本当のことを言っているんじゃないかと思い始めているが、
工藤新一と近い関係であ
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