白き極光編
第1章
エラディケイション・ザ・ドマ
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な笑みを浮かべるケフカに、レオは一抹の不安を覚えたが、皇帝直々の召還命令に背くわけにはいかない。
後事をエイドに託しはしたが、この対ドマ遠征軍にあってレオに次ぐ権限を有しているのは、この皇帝直属魔導士たるケフカなのだ。
「敵もまた人間なのだ。それを忘れないでくれ」
「人間…そうだな人間だ。分かっているとも」
レオにはこの男の思考を理解する事は出来なかった。
だから釘を刺すに留めて本国への帰路についてしまった。
どんなに悪辣に見える人間でも、越えてはならぬ一線は決して越えぬ理性と良心はあるはずだと考えてしまったのだ。
人間という生き物の善性を信じ過ぎてしまったが故、未来の惨劇を止める機会を失ってしまったのである。
「ふん、良い子ぶりやがって…」
レオが陣地を出て船へと乗り込むのを確認したケフカは、早速行動を起こした。
「おい、出番だ」
テント内に待機していた人影が立ち上がり、陽光の下に姿を晒す。
ナムアミダブツ!
現れたのは、皮膚の無い筋繊維剥き出しの上半身を、全身に巻き付いた黄土色の布で覆った男だった。
「SYHHH…」
閉じた上下の歯の隙間から瘴気が漏れる。
「邪魔な奴が消えた。やっとお前の力を見せる時だ」
「…ケフカ=サン。再三申シ上ゲタガ…私ノジツハ取リ返シハツカナイゾ…向コウ数年ハ…人ガ住メル環境デハナクナル」
地獄の悪鬼めいた掠れ声で、男は…ゾンビーはケフカに最後の警告をした。
「構わん、やれ」
ゾンビーはしばしケフカを凝視すると、川へ向けて歩き始めた。
ドマ城内の水堀にも水を送り、水源にもなっているこの付近で最大の川だ。
「待てっ!」
その背に熊めいた大声が投げ掛けられた。
ゾンビーが緩慢な動作で振り向く動作を見せるが、完全に首が回る前に頬へ膝蹴りが叩き込まれた。
「なんだお前!! …ん? その顔どこかで…」
吹っ飛ばされて地面に突っ伏したゾンビーと、アンブッシュ者の顔を交互に見比べるケフカ。
ケフカとゾンビー、どちらも視界に収められる位置取りをしたモンク…マッシュは身構える。
ゾンビーの放つただならぬアトモスフィアに、放置は危険と判断し飛び出したのだ。
少し遅れてシャドウとインターセプターも追いついて臨戦態勢に入る。
「無茶をする」
「あいつはヤバい。俺の嗅覚がそう言ってる」
ゾンビーはのっそりと起き上がり、マッシュ達へ向き直ると、両の掌を合わせ、腰を曲げてアイサツした。
「ドーモ…ナックラヴィー…デス…」
「呑気に挨拶してんじゃない! さっさとドマをやってしまえ!」
アイサツを邪魔するケフカへ、ナックラヴィーは濁った瞳をギョロリと向ける。
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