第二部 黒いガンダム
第五章 ライラ・ミラ・ライラ
第四節 闖入 第五話
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推力で突っ込んだ。
「させるかよっ!」
カミーユの機体がライラの真下からビームサーベルを抜いて飛び掛かる。振り上げたライラのビームサーベルがレコアに届くより遥かに手前でガッチリと受け止められていた。
「貴様ごときが邪魔をするっ」
ライラがキレる。
明らかに格下と見ていたカミーユが割り込んできたことが驚きだ。向こう見ずというよりも、死にたいのかと疑いたくなる。確かに操縦は上手かったが、熟れていない。そんな奴が自分を阻もうとするなど、プライドが許さなかった。
「望み通りにしてやるよ!」
ビームサーベルを引かず、カミーユを抑え込むように機体を競り合わせた。スラスターを目一杯に踏み込んで、カミーユに圧力を掛ける。もう一機が体勢を立て直す前に片付けてやると意気込んだ。ビームライフルをラッチに掛けて、右手でもう一振のビームサーベルを抜こうとした。
「カミーユっ」
蹴りの衝撃から解放されると、レコアは崩れた体勢を素早く立て直した。ここでもランダムバインダーのAMBACが有利に働く。バインダーの推力で蹴りの力を相殺すると、メインスラスターに上乗せして、ライラとの距離を詰めた。ライラとカミーユの間に強引に割り込もうとする。
だが、ライラはさすがにベテランだった。レコアの挙動に気づくと、躊躇いなくカミーユとの競り合いから離脱した。レコアがカミーユを庇うように立ちはだかる。
「ちっ!」
とんだ邪魔が入ったといわんばかりのライラの表情である。だが、敵の一機は動きが鈍い。まだ、状況はライラたちに有利だ。確実に仕留めるべきだ。もはや遊びは終わりである。
身を翻したかと思うと、レコアたちにビームライフルを浴びせた。盲射ちであるが、際どい射撃だ。加速して追い掛けようとした二人を瞬間足留めする程度の時間稼ぎにはなる。その隙にライラは信号弾を上げて、ライルとカークスに指示を出した。
「まだ、終わりじゃないよっ」
ライラの眼にはまだ闘志が溢れていた。レコア機との決着をつけるには、ほかの邪魔な敵を先に排除すべきだ。互角の敵と、相手を認めたからには、手負いから仕留めるだけである。狙いは動きの遅い一機――エマであった。
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