第二部 黒いガンダム
第五章 ライラ・ミラ・ライラ
第四節 闖入 第三話
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の光が続けざまにライラのシールドに突き刺さる。
「何? なんて連射速度だ……だが、その分弾切れも速いってね!」
明らかにライラが装備しているボウワ社製BR‐83Aよりも速い。ほぼ時差なしに、着弾した。シールドを瞬時に擲ち、機体に回避運動させつつ、シールドを狙って弾幕にする。さらにビームサーベルを抜いた。
さすがは歴戦のライラであるが、《ガンダム》の持つビームライフル――ボウワ社製BR‐86Aはその予想を超えていた。この新しいビームライフルは低出力の連射モードと高出力のライフルモードを切り替えることができる上、エネルギーパック―カートリッジ方式の弾装を交換することで、戦闘継続が可能となる。
今までのビームライフルは、ライフル内にチャージされた収縮メガ粒子――Iフィールドを利用したエネルギーCAP技術による光弾を射ち尽くしたら、母艦に戻り再チャージしなければならなかった。
それが誤算だった。
ビームライフルの光弾がライラの《カスタム》の装甲を焦がした。駆動系に問題はない。左脚の装甲を掠めただけだった。しかし、それさえ、一年戦争以来、初めてのことだ。デラーズの乱の折は、〈ルナツー〉は主戦場から遠く蚊帳の外であったし、それ以後、大きな戦はない。残党狩りだけがライラの戦歴であり、来るべき戦いのために訓練を怠らず、命を大事にしてきた。
そのライラが相手を脅威に感じないのは、ライラの自惚れではない。《ガンダム》のパイロットは乗り馴れていない――操縦に熟れた馴れが見えなかったからだ。つまり、まだ己の手足のように使えてはいないということだ。
「甘いね。慣熟訓練ってのは、MSのためじゃないんだよっ」
故に付け入る隙はあると、ライラには解る。それは経験の差だ。正確な射撃、マニュアル通りの戦術眼は新兵だと思わせる。時折みせる予測不可能な動きにだけ気をつけていればいいのだ。
ライラはこの時点で勝利を確信した。
だが、その勝利を遠退かせる報せが鳴り響く。警戒宙域に所属不明機が侵入したのだ。
「貴様は邪魔なんだよっ!」
ライラがビームライフルを放つ。と同時に回避運動。敵からはバズーカが放たれた。ターコイズブルーとネイビーブルーの所属不明機は《ドム》に似ていた。違うのは背後に二枚のバインダーを背負い、モノアイが固定されたように見え、全体的に丸みを帯びていないことぐらいか。はた目にはジオンと連邦のMSの合の子にも思えた。
機敏に避けた《ドムモドキ》に実戦の重みがあった。性能も未知数となれば、全戦力で掛かるべきかもしれない――ライラがそう考えたとき、後背に火球が生まれた。
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