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機動戦士ガンダム0086/ティターンズロア
第二部 黒いガンダム
第六章 フランクリン・ビダン
第五節 散華 第三話
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は総じて生来の宇宙居住者の方が適性が高く、特に宇宙空間とコロニー内での操縦は無意識に動きを使い分けることができた。当然、ストレスも少なく、無重力ムクレにも耐性がある。そのため、ストレスマネジメントの観点からも地球居住者は配置転換が度々行われるのが常であり、必然、地球居住者は地球居住者同士でチームを組む。

 結果、宇宙居住者は宇宙居住者同士でタッグを組んだり、小隊を構成することになる。頻繁に出入りする地球育ちとタッグを組んではチームワークが育ちにくいのだ。員数合わせにもならない《お客さん》が関の山だ。どの途、半年もすれば移動になる。積極的に仲良くする奴はいなかった。乗組員も同じであり、〈ボスニア〉は宇宙居住者率が高い。〈ルナツー〉では異色の艦であり、地球居住者への対抗意識が強かった。地球居住者を莫迦にしていると言ってもいい。

 ライラのチームも例外ではなく、先月地球居住者のメンバーが配置転換で抜けたままである。もともと定員を割っているが、三人一組での出撃回数の方が多いほど、補充は後回しにされていた。

 だが、戦後の軍縮期にあって潤沢な予算などないティターンズ以外の軍にあっては定員など有ってなきが如しである。〈ボスニア〉の直掩につく防衛小隊も万年定員割れで、先頃ようやく補充されたばかりだ。ハンガーには最大十機のスペースがあるが、建造されてから一度も埋まったことがないと整備長がぼやくほどだ。

 予測の裏を掛かれそうになったことは、カークスの矜示をいたく傷つけた。対峙しているのはティターンズからの脱走兵――地球居住者である。特権に魅せられた彼からすれば、いとも簡単にそれを棄てられるということ自体が、腹立たしい。宇宙居住者にとって、手の届かない古代の貴族特権と同じなのだ。

「いただきだぜ!」

 ライルが吼えて敵機に取り付く。反撃はない。バランスを崩した敵機を羽交い締めにするように固定し、ビームサーベルを抜き放った。

 カークスは周囲を警戒する。ライラが迎撃している《ドムモドキ》が気になっていたのだ。先の戦闘で《ガンダム》の装甲が旧来のチタン複合材であり、ルナチタニウム装甲ではないことが解っているから、さして心配はいらない。

 だからといって、あの《ドムモドキ》がジオン公国製MSと同じ超綱スチール材とは限らない。連邦が進化すれば、敵も進化する。それが兵器開発の常であった。しかも、ジオンのMS開発力の方が上を行っていることは事実なのだ。
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